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建通新聞社(中部)
2025/01/21

【愛知】名市 中川運河で電動推進機の有用性を検証

 名古屋市経済局は1月17日、中川運河で電動推進機の有用性検証の様子を報道機関に公開した。住宅都市局が名古屋港管理組合と進める中川運河の再生で、水辺の魅力創出に当たり次世代電動操船システムの活用により、温室効果ガス・騒音・振動などの環境負荷を低減する効果を検証するとともに、よりよい乗船機会提供を目指している。
 実証事業者は、宮の渡しに店舗を構えるダイイチ(津市)とヤマハ発動機。ヤマハの次世代電動操船システムHARMO(ハルモ)で実証を行っている。HARMOは、アムステルダム運河や小樽運河で実証が行わているが、大きな川幅があり、ビル風の影響を受けやすい運河での実地検証は初めての試み。大都市圏の運河の特徴を生かして、水上交通としての実用可能性の検証を行っている。
 HARMOの特徴は、リムドライブ方式を採用している点。シャフトでなく、スクリューの羽の先端部で回しているため、より小さい力で回すことができる。駆動系は48㌾、制御系は12㌾。また、今回検証では電動推進機を2基搭載、横移動が可能なため、乗船場がない場所でも渡しさえあれば接舷できるなど、運河沿岸のさらなる魅力アップも期待できそうだ。
 記者が試乗させてもらったところ、騒音・振動をほとんど感じないため、船が動き出したことすら意識しないと気付かなかった。より水面に近い視点で乗船を体験できる他、エンジン音がないため、大きな声を出さずとも明瞭に会話を楽しめる。住宅都市局によると、水鳥が船の接近に気付かず、直前で気付いたこともあったという。
 通常の速度は、時速7`程度と、エンジン船ほどの速度は出ない。ゆったり・ゆっくり巡るのに向いているようだ。


提供:建通新聞社