トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社
2025/01/20

【大阪】阪神・淡路大震災30年シンポ 備えを啓発

 阪神・淡路大震災から30年の節目を機に、震災の経験と教訓を振り返るとともに南海トラフ巨大地震への備えの啓発や国土交通省の防災・減災施策への理解の促進を目的としたシンポジウムが1月15日に大阪市内で開かれた。主催者を代表してあいさつに立った近畿地方整備局の出口陽一副局長は、「震災を契機に、初動体制を含め防災体制や災害対応体制を見直し、さらに耐震補強を進める支援をしている。昨年の能登半島地震でも落橋などの被害はなく一定の成果を上げていると思う」とし、国民の生命・財産を守るため引き続き防災・減災への取り組みを進めていくことを強調した。
 シンポジウムでは、京都大学防災研究所副所長の矢守克也教授がコーディネーターを務め、「大震災、教え、備えさらなるチャレンジ」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ、震災当時の状況や体験、得られた教訓などを話した。
 矢守教授から「災害頻発時代を見据えた戦略」に対する考えについて投げ掛けられ、パネリストとして参加した和歌山県田辺市の真砂充敏市長は「昨年3月に策定した事前復興計画では、歴史や文化の重要性を考慮した復興のまちづくりを視野に入れている。世界遺産を核とした観光振興にもつなげるハイブリッドなまちづくりにチャレンジしたい」と述べた。
 また、日本建設業連合会関西支部の北岡隆司支部長は、災害時の迅速ながれき処理の重要性などを訴えた他、建設業の若手技術者・作業員の確保について触れ「今の学生は社会貢献にも高い関心を持っていると聞く。建設業界も若者のニーズを理解し、的確に応えるような情報を発信していく」と地域を守る建設業の担い手の確保に力を尽くすことを強調した。
 パネルディスカッションの最後に近畿地整の橋伸輔企画部長は、東北地方整備局の著書「災害初動期指揮心得」から抜粋し、「災害の様相は毎回変わるので訓練だけでは足らない。自由自在に応用してこそ将来の災害に対応できる。備えたことしか役に立たなかった、備えていただけでは十分ではなかった」とし、「関係機関などと連携を図りながら国交省が中心となって南海トラフ巨大地震への備えを進めたい」と締めくくった。
 この他、関西大学社会安全学部の奥村与志弘教授が「阪神・淡路大震災からの30年に学ぶこれからの防災・減災」、阪神・淡路大震災の語り部である菅原隆喜氏が「阪神・淡路大震災と地震火災」をテーマにそれぞれ基調講演した。
 ※写真は建通新聞電子版に掲載中

提供:建通新聞社