守山市は、市民ホール大規模改修基本計画(案)を策定した。設計・施工の事業手法は「従来方式」が適しているとし、事業費は約67億円(工事費60億円+設計監理委託料・備品購入費等7億円)を見込む。今後の整備スケジュールは、2025年度(令和7年度)に設計者選定(4~6月)・基本設計(7月~)、26年度(令和8年度)に実施設計を行い、27年度(令和9年度)に入札準備を経て工事発注(4~9月)、施工期間は27年(令和9年)10月~29年(令和11年)6月を想定している。
現在の守山市民ホール(守山市三宅町125〔敷地面積1万2827平方㍍〕)の建物規模は、RC造一部SRC造及びS造地下1階地上2階建(塔屋1階)、延8970・25平方㍍。大ホール(1300席)、小ホール(300席)のほか、展示室、リハーサル室、練習室、会議室、学習室、調理実習室、工芸室を備える。1986年(昭和61年)11月の開館以来、建物および各種設備は経年による老朽化が進み、安全面・利用面での課題を抱えているため、大規模改修に向けた方針を示した。
なお、手法については、設計・施工が分離しており地元企業が参画しやすい可能性が高く、基本設計と実施設計が同じ設計者であるため責任区分が明確であり、工事契約が27年度(令和9年度)以降となるため建設業者の新規案件への受注意欲を踏まえた入札参加可能性のある「従来方式」が考えられている。
守山市民ホール大規模改修に係る各施設の計画は次の通り。
《大ホールエリア》
▽改修後も県下有数の音響性能を維持=現在の音響性能を維持しつつ内装を更新する
▽利用者の快適性向上=現在の客席数(1300席)をなるべく確保しつつ、現代の一般的な座席幅へ更新し、快適な客席環境へ改善する/母子室の快適性を向上する(名称も変更する)/楽屋の内装と設備を更新する/大ホールホワイエの内装を更新する
▽劣化した舞台設備などの現代的な機能性確保=客席照明を更新する/劣化した舞台機構の制御盤・操作盤を更新する/舞台機構の一部電動化を検討する/舞台照明設備の全体的なシステムを更新する/舞台音響設備の全体的なシステムを更新する/舞台床などの劣化を更新する
▽安全性の確保、ユニバーサルデザインの推進=法律に基づいて車椅子スペースを増設する/車椅子スペースまでの動線を検討する/法改正に合わせ特定天井への対応を行う
《小ホール・展示室エリア》
▽より多目的な市民の創造・発表の場=小ホールの音響性能を向上する/小ホールが多様な用途で使用できるよう照明設備を整備する/展示室の可動間仕切り、照明設備を更新する/展示室の防音性を向上する
▽市民ギャラリー・ロビーとの連携=市民ギャラリーやロビーとオープンに一体利用できるよう整備する
▽小ホールの利用者の快適性向上=舞台および客席の床を最低限更新する/楽屋の内装を更新する
▽劣化した舞台設備などの現代的な機能性確保=客席照明のLED化を行い、省エネに努める/劣化した舞台機構の制御盤・操作盤を更新する/舞台機構の一部電動化を検討する/舞台照明設備、音響設備の全体的なシステムを更新する
▽小ホールの安全性の確保=天井の安全性を向上する/老朽化した電動可動椅子を更新する
▽その他=小ホールの使われていない可動間仕切りを撤去する
《共用エリア》
▽利便性向上=守山市民運動公園側出入口を拡幅し、現在よりもゆったりとしたエントランスの雰囲気をつくる/楽器の運搬が可能なエレベーターへの更新を検討する/授乳室を整備する
▽開放的な市民の憩いの場=入りやすく、日常的にくつろげるロビー・エントランス空間を整備する
▽中庭の活用=賑わいが創出できる場所にする/小ホールや展示室、ロビーと一体的に利用するため、中庭を屋内化する/コンサートなど各種イベントに対応できるよう、照明器具や音響機材が利用できる電源設備を整備する
▽前庭の活用=ロビーと一体的な利用を計画し、ロビーの一部として利用できる計画を検討する/ワークショップやマルシェなどにも活用できるよう、電源設備などの配備を検討する/開かれ、集いたくなる空間にする/日よけ設備の維持を検討する
▽レストラン=前庭やロビー空間の開放的な利用と合わせて、市民のたまり場となるような、オープンカフェとして整備する/すべての世代が気軽に利用できる空間を目指す
▽安全性の確保、ユニバーサルデザインの推進=吹き抜け天井の安全性を向上する/案内表示の工夫などのユニバーサルデザインを推進する
《2階諸室エリア》
▽活動が見え、より身近に感じられる諸室=室内の活動が見えるように内装を更新する/1階とつながり、開放的な空間を目指す/照明設備を更新し気軽に利用できる明るい雰囲気を目指す/更なる利便性向上のため、各諸室の間取りの変更を検討する
▽多様な市民の練習・創作の場=利用頻度の低い調理実習室と和室の一部を廃止し、個人や少人数で利用できるスタジオやくつろげる交流スペースを新たに整備する/会議だけでなく楽器の演奏など多目的な利用ができるよう部屋の用途にあわせて防音化などの整備を検討する
《管理諸室》
▽管理しやすい諸室=来館者が認知しやすく、また来館者対応をしやすいよう、壁やカウンターの位置の変更を検討する/調湿・調温可能なピアノ庫を整備する/より管理しやすいようにする
《外装材》
▽事業費削減のため、できる限り既存利用を行う=銅板屋根については、極力現状の屋根を利用して、改修することを検討する/陸屋根部分は原則、全面撤去・新設を行う/外壁のタイル部については、劣化している箇所の補修等改修を行う/塗装部については、原則全面的に撤去・新設を行う
《外構》
▽市民交流ゾーン(東向かいの地区計画A地区〔複合商業施設〕)へ開放され、来訪しやすい施設=市民が立ち寄りやすく、開放的なエントランスを目指す
《その他》
▽その他=電気設備については、耐用年数の超過、機器の劣化が見られるため、原則、全般的に撤去・新設を行う。ただし、劣化状況やLCC(ライフサイクルコスト)などを踏まえた上で、今回の大規模改修で実施するか検討する/機械設備については、耐用年数の超過、機器の劣化が見られるため、原則、全般的に撤去・新設を行う。ただし、劣化状況やLCCなどを踏まえた上で、今回の大規模改修で実施するか検討する/トイレ設備に関しては、近年に改修工事を実施した箇所を除いて、全面的に改修する/防火設備などの現行法に適合していない設備等については、現行法に対応する
提供:滋賀産業新聞