東京商工リサーチ横浜支店がまとめた神奈川県企業倒産状況によると、2024年1年間(1〜12月)の県内建設業の倒産件数は前年比10・6%減の126件だった。建設業の倒産が減ったのは23年が大幅に増えたことの反動もあるが、元請けクラスの倒産はなく、負債額の小さい零細企業が大半を占めた。全産業の倒産件数は545件と5%増加している。
県内建設業の倒産件数は、前年同期に比べて15件減少。負債総額は22・7%減の102億1500万円だった。倒産した126件のうち、業種別では「土木」と「管」がそれぞれ18件と最も多く、「建築」の14件がこれに次ぐ。東京商工リサーチでは「資金繰りが苦しいところに人件費や資材高などのコストアップが重なり、息切れする倒産が続いている。価格転嫁が進まず、小規模な下請け企業の経営状況は厳しい」と分析する一方で、「技術力があったり専門性が高い会社は豊富に仕事があり、収益も上がっている」と二極化を指摘する。
全国の建設業の倒産状況を見ると、件数ベースでは前年比13・6%増の1924件、負債額は前年比7・6%増の1984億5800万円。件数、負債総額とも3年連続で前年比を上回った。
県内建設業の動向は全国に比べると落ち着いており、23年の新設法人数が前年比23%増の1435件となるなど、増勢に転じる動きもある。
12月単月の倒産は、前年同月と比べて件数が7件減の10件、負債総額は68・9%減の7億6100万円だった。
不動産は大幅改善も先行きは懸念
産業別で最も倒産状況が改善したのは不動産業。前年同期に比べ、件数は61・1%減の7件、負債総額は48・4%減の11億8100万円。1989年の調査開始以来、初めて7カ月連続で倒産が発生しておらず、業況の良さがうかがえる。ただ、同社では「コロナ禍に一戸建て住宅や開発で順調な業績を上げたが、足下の状況は良くない」と懸念を示す。建設コストが高騰してさらなる金利上昇も見込まれる中、賃貸物件で様子を見る動きが見られるようになり、先行きに関しては注意が必要だという。
提供:建通新聞社