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日刊建設タイムズ社
2025/01/15

【千葉】「統合やむなし」6割超/建て替えは35年約1500億円/佐倉市 学校あり方懇話会

 佐倉市は14日、「佐倉市におけるこれからの学校のあり方懇話会」(会長=古賀毅・千葉工業大学創造工学部教授)の第3回を市役所1号館6階第1会議室で開催し、これからの学校のあり方に関するアンケート調査結果や、将来を見据えた学校施設の整備などを議題とした。市内学校施設においては、延べ床面積ベースで4分の3以上が築30年を経過し、老朽化の進行に対応するための改修・建て替えが必要となっている。アンケート調査は、2024年10月28日から11月15日にかけて、ウェブフォームにおいて児童・生徒、保護者、教員、市民を対象に実施。統合に対する考えについての設問には「学区の見直しなどにより、学校間の児童・生徒数が調整できない場合、統合もやむなし」との回答が全調査対象者区分において6割以上と最高。次いで「小中一貫校化など、新たな学校形態を検討する」の回答割合が高かった。
 アンケートの回答数は、児童3524件(回答率88・4%)、生徒3200件(同81・5%)、児童保護者2045件(同35・6%)、生徒保護者1156件(同31・5%)、教員555人(同72・5%)、市民1117件(同23・5%)、未就学児保護者345件(同43・1%)だった。
 20年度の試算で、現有施設を全て築50年目に建て替える場合、55年度までの35年間で1458億円を要する。事業費の年平均は、過去の施設整備関連経費のおよそ2・4倍に相当する41・7億円となる。
 また、一部の施設について築40年目に長寿命化改修を行い築75年目に建て替える場合、35年間で1094億円を要する。事業費の年平均は、過去の施設整備関連経費のおよそ1・8倍に相当する31億円となる。
 直近10〜20年程度に、建て替えまたは長寿命化改修が集中することも課題。また、建設資材の高騰などを加味すると、事業費のさらなる上昇が考えられる。
 学校施設整備に求められる視点として▽安全・安心な教育環境の実現=非構造部材も含めた耐震対策、構造躯体の経年劣化の解消・外壁の補修・耐久性を高めるための塗装および防水、設備の更新など老朽化対策、スロープ・バリアフリートイレ・エレベーターなどによるバリアフリー化▽持続可能な教育環境の実現=壁や窓などの断熱性向上、高効率照明などの導入による脱炭素化▽柔軟で創造的な学習空間の実現=既存の面積資源の有効活用・再配分による多様な学習活動などに柔軟に対応できる学習・執務空間の整備、高速大容量通信ネットワークなどの1人1台端末を活用した学習環境の整備、インクルーシブ教育システムの構築や合理的配慮の基礎となる環境整備▽健やかな学習・生活空間の実現=トイレの様式化・乾式化、特別教室・体育館などの空調整備、内装木質化などの木材の積極的な活用▽地域や社会との連携・協働の実現=既存の面積資源の有効活用・再配分による他の公共施設などとの複合化・共用化、避難所としての防災機能強化、域内のハザード情報を踏まえた水害対策――を挙げた。
 懇話会は全8回程度を予定し、3月26日に第4回、5月ごろに第5回を開く見通し。懇話会で議論を重ねるとともに、パブリックコメントを行い、25年度内に「(仮称)佐倉市におけるこれからの学校のあり方に係る基本方針」を策定・公表する想定だ。
 20年度時点で、市内の学校施設のうち、築30年以上の建物は143棟(約81%)・延べ床面積約16・7万u(約77%)に上っている。times