北陸地方整備局はこのほど、能登半島地震、奥能登豪雨からの復旧における直轄および権限代行砂防・地すべり事業の進ちょく状況と、今後の見通しについて報告した。
対象は直轄砂防事業が河原田川、塚田川、町野川の3地区、直轄地すべり事業が大野地区、曽々木地区、仁江地区、清水地区の4地区、権限代行の地すべり事業が深見地区、名舟地区、渋田地区の3地区。
現在応急対策工事を道路事業と連携して実施しており、国道249号沿岸部を経由した輪島〜珠洲間の通行を確保したほか、河道閉塞により市道が通行止めとなっている輪島市市ノ瀬町地内では応急対策工事を春までに完了、すべての個所の同工事を出水期までに完了するとしている。
災害の再発を予防するための恒久対策は、全個所で2026年度末をメドに地下水排除工など地すべりのリスクを抑える整備を完了予定。29年度末にすべての対策工事を完了させる。
砂防工事は、応急対策として仮設堰堤やワイヤーネット工を施し、次に砂防堰堤や流木対策工で安全性を確保する。
地すべり工事は、応急対策として土砂の撤去や仮設護岸の設置を行う。地すべりの拡大崩壊による被災防止のため抑制工(地すべりの誘因となる自然的条件の低減、除去)を中心とした対策を実施。その後再度の災害防止のために抑止工(構造物による地すべり運動の停止が目的)を中心とした対策を実施する流れになっている。
各地区の内容は次の通り。
▽河原田川流域(市ノ瀬町) 地震で斜面崩壊と河道閉塞が発生したため、応急対策として流出土砂を撤去中。また、法止工設置に向けて材料製作などの準備中。引き続き河道閉塞決壊に伴う氾濫被害防止のため、恒久対策として湛水池埋立1カ所、砂防堰堤1基、斜面対策工を予定。
▽河原田川流域(熊野町) 斜面崩落による再度の河道閉塞を防止するため緊急的な砂防工事(崩壊斜面の法面整形など)を実施中。引き続き恒久対策として法面対策工を進める予定。
▽町野川流域(鈴屋川) 地震、大雨で発生した不安定土砂の応急対策(流出土砂撤去など)や砂防堰堤整備に向けた工事用道路を設置中。引き続き、河道内に堆積した土砂の流出、土砂・洪水氾濫による被害を防止するための恒久対策として砂防堰堤5基、流木対策工2基、渓流保全工2カ所を計画。
▽町野川流域(寺地川) 地震、大雨で発生した不安定土砂に対し、流出土砂撤去などの応急対策や砂防堰堤整備のための工事用道路を設置中。引き続き、恒久対策として砂防堰堤3基、法面対策工を計画。
▽塚田川流域(塚田川) 大雨により発生した不安定な土砂に対し、流出土砂撤去などの応急対策や砂防堰堤整備のための工事用道路を設置中。引き続き、恒久対策として砂防堰堤3基、渓流保全工1カ所を計画。
▽清水地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的対策として土砂流出防止工などを整備中。引き続き、地すべりによる人家、国道249号などへの被害を防止するため、恒久的対策として地下水排除工、法面保護工、アンカー工などを計画。
▽仁江地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的な対策として土砂流出防止工などを整備中。引き続き地すべりによる人家、国道249号などの被害防止のため、恒久的な対策として地下水排除工、法面保護工、アンカー工などを計画。
▽曽々木地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的対策として土砂撤去を実施済み。引き続き、地すべりによる人家、国道249号などの被害防止のため、恒久的な対策として法面保護工などを計画。
▽大野地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的対策として仮設防護柵工を整備済み。引き続き、地すべりによる人家、国道249号などの被害防止のため恒久的な対策として地下水排除工、法面保護工、アンカー工などを計画。
▽深見地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的な対策として深見川の仮設護岸工などを整備中。引き続き地すべりによる人家、国道249号などの被害防止のため、恒久対策として地下水排除工、法面保護工などを計画。
▽名舟地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的な対策として崩落土砂撤去などを実施中。引き続き、地すべりによる人家、国道249号などの被害防止のための恒久対策として地下水排除工、法面保護工などを計画。
▽渋田地区 地震による地すべり及び大雨による土砂流出に対し、応急的な対策として渋田川の仮設護岸工などを整備中。引き続き地すべりによる人家、国道249号などの被害防止のための恒久対策として排土工、法面保護工などを計画。