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建通新聞社
2025/01/07

【大阪】中野国交相 建設業を魅力的な産業に

 中野洋昌国土交通相が建設専門紙の共同インタビューに応じ、今年12月の改正建設業法の全面施行を通じ「賃金や労働時間などの処遇を改善し、将来の見通しが持てる、魅力的な産業を目指す」と述べるなど、2025年の抱負を語った。激甚化・頻発化する自然災害に対しては「国民の命と暮らしを守ることは国の重大な責務」と述べ、国土強靱(きょうじん)化実施中期計画を早期に策定する必要性を示した。

■能登半島地震から1年

―能登半島地震の発生から1年がたちました。この地震で明らかになった課題と対応策は。

 「現在、国交省は被災地の復旧・復興を早急に進めるため、被災した国道249号沿岸部や、その後の豪雨で被災した塚田川などで、権限代行によって対策を進めている。地震発生直後の初動期には、通信・ライフラインの途絶などの課題があった中で、被災状況の把握、被災者支援、応急復旧などに対応した」
 「こうした対応で得られた教訓を踏まえ、被害を防止・軽減するためのインフラ整備や耐震化、適切な維持管理を着実に推進する。テックフォースなど災害支援体制の充実・強化も図る」

―南海トラフ地震や首都直下地震の切迫性が高まっています。災害に備える国土強靱化をどのように進めますか。

 「わが国の国土は災害に対して脆弱(ぜいじゃく)であり、激甚化・頻発化する豪雨災害や大規模地震から国民の命と暮らしを守ることは国の重大な責務と認識している。まずは昨年12月に成立した24年度補正予算を活用し、5か年加速化対策を着実に推進する」
 「5か年加速化対策の終了後も、中長期的、明確な見通しの下、継続的・安定的に対策を講じられるよう、『国土強靱化実施中期計画』を早期に策定することが重要だ。実施中期計画の検討を最大限加速し、必要・十分な予算確保に努める」

■著しく低い労務費を禁止

―昨年6月に成立した改正建設業法は今年12月までに全面施行します。

 「建設業が『社会資本の整備と管理の担い手』、『地域の守り手』として重要な役割を果たし続けるため、将来の担い手確保に向けた処遇改善や働き方改革に取り組む必要がある。すでに改正法の一部を施行し、資材価格高騰分の転嫁対策を強化している。公共工事設計労務単価の適切な設定と合わせ、建設技能者の処遇を改善したい」

―改正法には労働者の処遇改善を図るための規定も盛り込まれました。

 「今年12月からは、『労務費の基準』に基づき、労務費が著しく低くなる見積もりや注文者からの見積もり変更依頼を禁止する。これらの仕組みを有効に活用するため、まずは契約当事者間で新ルールに沿った価格交渉や転嫁協議を進める必要がある。立場の弱い下請け企業が交渉しやすくなるよう、ガイドラインを作成して新制度の運用上の留意点を示す」

■現場の省人化3割目指す

―担い手の確保と現場の生産性向上を両輪で進める必要があります。

 「これまでもi−Constructionで生産性向上を進めてきたが、生産年齢人口の減少、災害の激甚化・頻発化、インフラの老朽化など、社会資本整備や建設産業をめぐる環境は大きく変化している。こうした環境変化を踏まえ、昨年4月には、より少ない人数で生産性の高い建設現場を実現する『i−Construction2・0』を打ち出した」
 「すでにスタートした建設機械施工の自動化・遠隔化、施工データの高度利用、BIM/CIMを活用した積算の試行などに続き、今年もICT施工の原則化などに取り組みたい。2040年度までに建設現場で少なくとも省人化3割、すなわち生産性1・5倍を目指す」
 ※写真は建通新聞電子版に掲載中

提供:建通新聞社