国立美術館(東京都千代田区)は、相模原市にある国立映画アーカイブ相模原分館の敷地内に収蔵施設を建設する。漫画やアニメの製作過程で生まれた原画や資料などを適切な温度管理で保存・修復するための施設。2025年度に基本設計を始め、26年度に実施設計と地質調査などを進める予定。27年度に建設工事に着手して、30年度の完成を目指す。
建設予定地の相模原分館は、相模原市中央区高根3ノ1ノ4の米軍基地・キャンプ淵野辺跡地に立地。敷地面積は1万4997平方b。1986年に映画フィルム保存専用施設として完成した。24時間空調システムによる管理の下、適切な湿度・温度で保護するとともに、映画フィルムの検査やデータの採取、出入庫作業などを行っている。
敷地内には映画保存棟が3棟ある。規模は「保存棟1」が鉄筋コンクリート造地下2階地上2階建て延べ4510平方b、「保存棟2」が鉄筋コンクリート造地下2階地上2階建て延べ4927平方b、「保存棟3」が鉄筋コンクリート造平屋139平方bとなっている。
文化庁によると、国内の映画や漫画、アニメ作品が完成に至るまでに必要なシナリオや絵コンテ、原画などの中間生成物≠フ国際的な評価が高まる一方で、散逸や流出、劣化が進んでいるという。
しかし、保存・修復に必要な専門人材が不足しており、収蔵庫のキャパシティーも限られている。そこで、貴重な作品と中間生成物を受け入れて、最適な環境で保存・修復などを行う拠点を整備することにした。
9月に基本計画の策定業務を安井建築設計事務所(東京都千代田区)へ委託した。同事務所は保存棟2と3の設計を担当した実績がある。25年3月末までの履行期限で施設規模などを具体化する。
12月17日に成立した文化庁の補正予算では、基本設計の経費として6億2800万円を確保した。
提供:建通新聞社