京都市は23日、令和7年度予算の編成方針を公表、各局区等の長に通知した。
市は、すべての人に「居場所」と「出番」がある「突き抜ける世界都市 京都」を実現し、市民の幸福感(ウェルビーイング)の向上につなげるとともに、その基盤となる持続可能な行財政運営を継続していくため、令和9年度までに取り組む政策等の方針となる「新京都戦略」を6年度中に策定する。
新京都戦略策定後初めてとなる令和7年度予算を編成するにあたり、特に留意すべき点を通知した。
令和3年8月に策定した行財政改革計画に基づく改革や都市の成長戦略の推進、国・府と一体となった経済政策により、市の財政状況は着実に改善しているものの、個人市民税の納税義務者数の割合が指定都市の中で最も低いなど、税収の構造的な課題は依然存在しており、加えて、インフレが進む中で、あらゆるコストが上がることや、人口減少も課題であり、引き続き、緊張感をもった財政運営が必要とし、今後、市民参加・協働の下、京都のまちのビジョンを共有し、財政状況の見える化を図りつつ、社会経済情勢等に応じた不断の点検を行い、限りある財源と人員を、福祉、教育、子育て、包摂性の高いまちづくりや京都経済の下支え、安心安全など市民生活を第一としながら、京都の価値を高める施策へ重点的に配分していくとした。
また足下の経済がデフレからインフレ傾向へと向かう中、一般財源収入が伸びないことを前提とした歳出抑制に軸足を置いた財政運営ではなく(歳出上限を設定せず)、歳入歳出の均衡、将来世代への配慮などにより、財政の健全性を担保していくとした。
令和7年度予算で取り組む政策について、「突き抜ける世界都市 京都」を実現していくため、「文化・芸術」「包摂性」「活力と成長」「学び・子育て」「自然・環境」「安心安全」を政策の柱に掲げ、基礎自治体として〈市民生活第一〉の徹底はもとより、都市の活力の創出、更なる成長に向けた取組を進めるとし、デジタルの力も活かし、持続可能なまちの構築、京都ならではの地方創生の実現、人口減少対策を進めるとした。
とりわけ、京都の強みや魅力を活かした先導的・挑戦的な取組をリーディングプロジェクト(@世界中からクリエイティブ人材がつどい・交じる「テラス」のまちプロジェクトA公共空間をまちに開くパブリック「テラス」プロジェクトB市民生活と「観光」の両立プロジェクトC「世界に唯一」を目指し、知や技術を創発する企業立地促進プロジェクトD世界にインパクトを与えるスタートアップ創出・成長プロジェクトE「千年の都から次の千年へ」文化継承・価値創造プロジェクトFまち中に「学芸」があふれるプロジェクトG市役所・区役所の「つなぐ」機能強化プロジェクトH地域の「絆」で支え合う子育て応援プロジェクトI京都固有の町並みを次世代に「つなぐ」プロジェクトJ「山紫水明の都」ならではの生物多様性・未来継承プロジェクト)として位置付け、予算編成に反映していく。
予算編成にあたっての姿勢及び留意事項としては、○京都の本質的な価値や強み、ポテンシャルを活かした「攻めの都市経営」○官と民、内と外の垣根を低くし、多様な主体と地域の方々が対話を重ねて、つながりを深め、共に社会課題の解決や、新たな価値を創造○「しごとの仕方」、しごとの意識を変え、創造的な市政運営−の3点の姿勢を重視しながら、施策展開を図るとした。
持続可能な行財政運営に向けた留意事項は、@事業効果の市民への説明責任を果たせるよう、合理的な立案・企画に努めることA限りある財源・人員の中、ICT・デジタル技術の積極的な活用や、マンパワーを要する内部管理事務等の効率化等により捻出した財源・人員を、未来の京都の価値を高める新たな施策に重点的に配分できるよう努めること。また引き続き、緊張感をもった財政運営が必要であることを踏まえ、事業の必要性・緊急性を精査することB状況が常に変化することを前提に、行政の無謬性にとらわれず、一つ一つの事業や業務の在り方について目的や必要性を考え、必要があれば見直し、新たなことに挑戦すること。PDCAサイクルを意識することC新規事業を実施する場合は、原則、一旦の終期(効果検証を行ったうえで、より効果的な事業の在り方をゼロベースで検討する年度)を設定するとともに、既存事業についても点検・評価のうえ、事業継続の是非の検討を行うこと。新たに実施した事業の継続や公共施設改修等の投資事業などは将来世代への影響も踏まえ、後年度への影響も勘案することD多様な人々とのつどいや交ざり合いを通じて、資金を確保(例・ふるさと納税、ガバメントクラウドファンディング、ネーミングライツなど)するなど、民間活力の導入、民間資金の確保、公民連携手法をより一層推進することE国、府、関係自治体との連携を強化すること。京都の特性や大都市の課題を踏まえた施策・支援を獲得するため、国に対して柔軟かつ戦略的に提案・要望を行う。府市協調の下、政策連携を進めるとともに、「大京都圏」の発想で、周辺自治体等との広域的な連携を図ることF公営企業、独立行政法人について、経営の健全化を更に行うとともに、特別会計の持続的な運営に努めること。