滋賀県は、公共施設等社会資本整備・維持管理・更新の指針となる「国土強靭化地域計画改定原案」を策定。2月県議会に最終案の承認を求め、来年3月頃の計画策定を目指していく。
改訂後の有効計画期間は、25年度(令和7年度)〜29年度(令和11年度)までの5年間。
基本目標として、▽人命の保護▽社会の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること▽県民の財産及び公共施設に係る被害の最小化▽迅速な復旧復興―を掲げ、大規模地震や風水害等を対象としたリスクマネジメントを図っていく。昨年7月に改訂された国の国土強靭化基本計画の見直し内容等の反映として、デジタル技術の活用や地域力の発揮といった目標も追加し強靭化を図っていく考えだ。
具体的な内容を見ると、上・下水道施設の防災対策として、災害発生時において安定した給水機能の維持・確保を図るため、上水道施設や工業用水道施設の耐震化を進めるとともに、近年の災害状況等を踏まえ浸水対策および停電対策を実施していく。また、下水道施設が被災した場合、社会全体の復旧活動・県民生活・琵琶湖への影響が大きいことから、耐震診断の下水道機能の優先度を勘案し、下水道施設の耐震化を計画的に進めるとともに、停電対策の強化を行うと示した。
高規格道路(新名神高速道路・甲賀湖南道路・琵琶湖西縦貫道路・滋賀京都連絡道路・名神名阪連絡道路)、直轄国道(国道8号【米原バイパス・野洲栗東バイパス・彦根―東近江間・近江八幡―野洲間等】、国道21号、国道161号【湖西道路・小松拡幅・湖北バイパス・安曇川地区交差点改良等】)、国道365号栃ノ木峠道路をはじめとした主要幹線道路ネットワークの整備については、未事業化区間の早期事業化も含め、国や近隣府県と連携し推進していく。併せて、県事業および琵琶湖大橋有料道路事業、名神高速道路・北陸自動車道・新名神高速道路のICへのアクセス道路の整備やスマートICのさらなる整備について、道路の整備に関するプログラムに基づいて国や市町と連携しながら進めていく。道路インフラの被災により、医療施設や広域防災拠点・県庁・市町役場等へ到達できず、救助・救急活動や災害対応に支障が生じる事態を回避するため、緊急輸送道路および重要物流道路・代替補完路を中心とした道路ネットワークの整備も着実に実施するとともに、滋賀県緊急輸送道路ネットワーク計画に基づく橋梁の耐震対策も計画的に発注していく。大雪時に備えた除雪機械の増強やチェーン着脱場等のハード整備、災害発生時において代替輸送路としての機能を確保するため、農林道の整備・改良や農道橋等の耐震対策に対しても順次整備していく考えだ。
河川整備関連については、「河川整備計画」や「河川整備5か年プラン」に基づき、整備すべき優先度の高い河川から計画的に実施していく。特に、河川整備には極めて長い期間と膨大な費用を要することから、当面の改修が困難な天井川区間等については、喫緊の対策としての堤防強化(Tランク河川対策)や維持管理を実施していく。併せて、瀬田川(鹿跳渓谷)改修や、瀬田川洗堰操作との連携等により琵琶湖水位を低下させる大戸川ダム建設を、環境・景観等に配慮しながら促進していく。
関連して、県は過年度に国土強靭化対策による事業効果及び今後の見通しを公表している。それによると、18年(平成30年)〜22年(令和4年)の5年間で854億円を執行し、3か年緊急対策・5か年加速化対策による強靭化を着実に推進できたと評価、要整備案件が控えていることや老朽化インフラ施設が多くあることから、今後も全体的に安定的な予算措置を図る必要があるとしている。
提供:滋賀産業新聞