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建通新聞社(神奈川)
2024/12/17

【神奈川】横浜市 地震防災戦略の素案公表

 横浜市は地震対策の強化に向け、新たな「地震防災戦略」の素案をまとめた。避難所となる学校体育館への空調設置や、上下水道管の耐震化をはじめとするインフラの強靱(きょうじん)化など、能登半島地震で浮き彫りとなった課題への備えを加速する。2000年の耐震基準に適合していない木造住宅の改修に必要な支援策も新たに創設する考え。各施策の達成時期や規模感などの数値目標を25年2月公表予定の原案で示す。
 地震防災戦略は、大規模地震の被害を軽減する施策に取り組むための行動計画。現行の戦略は13年度に策定。能登半島地震の被害や、現地で支援に参加した職員の経験を反映して見直すことにした。
 新しい戦略の計画期間は25〜33年度。29年度までを「加速期」、30〜33年度を「推進期」に分け、素案では加速期に取り組む主な施策を示した。
 新規で加えた施策をみると、避難所の環境向上に関する施策の中で、小中学校体育館への空調整備を加速する方針を明記した。23年度からおおむね10年程度で全ての市立学校に設置する計画を前倒しする方針だ。
 また、建物の倒壊を防ぐための対策としては新たに、1981年6月〜2000年5月に着工したいわゆるグレーゾーン木造住宅≠フ改修に対する支援策を検討している。
 災害が発生した際の体制強化に向けては、広域防災拠点を旧上瀬谷通信施設地区(瀬谷区・旭区)に設けることを盛り込んだ。支援部隊のベースキャンプや大型災害ヘリの離発着場として活用できるようにする。併せて、同地区と東名高速道路を直結する新たなインターチェンジの整備に向けた検討を進めていくことなども示した。
 これまで取り組んできた緊急輸送路の沿道にある建築物の耐震化や災害用トイレの充実、延焼の危険性が高い密集市街地の建物除却・建て替え補助についても継続して進めていく。
 
 =被害想定を来年度見直し=

 市では、大規模な地震が起きた場合の被害想定を25年度に見直す方針。最新の被害想定は東日本大震災後の12年10月に公表したもの。元禄型関東地震と南海トラフ巨大地震、東京湾北部地震、慶長型地震の四つを対象に、建物の倒壊棟数や死者数、帰宅困難者数などを推計していた。
 新たな想定を踏まえて、地震防災戦略に必要な見直しは随時行っていくという。

提供:建通新聞社