横浜市都市整備局は、山下公園通り周辺地区(中区)のまちづくりに関する方向性を検討する。建て替えの方針が決まった神奈川県民ホールをはじめ、老朽化した建物や低未利用地がある。更新の機会を捉え、地区全体で一体感のある開発を促して地域課題の解決や魅力向上につなげたい考え。2025年春をめどにビジョン案をまとめる予定だ。
同地区は、中区山下町の山下公園通りに面したエリア。県民ホールや横浜マリンタワー、横浜人形の家といった公共施設の他、ホテルニューグランドやシルクセンター、産業貿易センタービルなど、横浜を象徴する民間施設が立ち並んでいる。
具体的な課題として、一部の歩道空間の狭さや、タクシー・バスの乗降場の不足などが挙げられる。夜間になると暗い印象があり、以前と比べてにぎわいも低下傾向。地震が起きた際の津波・液状化などの被害への対応も必要となっている。
12月16日の市会常任委員会では、まちづくりの視点を市が報告。
それによると、@横浜の水際線の魅力を生かすAまとまりのある緑化空間の創出B国内外から人や企業を引き付ける機能の導入C来街者を迎え入れる結節点としての機能強化D脱炭素化・災害への対応に向けた取り組みの推進―の五つを示した。
山下公園通り周辺は、再開発が進む関内・関外地区と、山下ふ頭地区に接している。これらの開発動向も踏まえながら、将来像を具体化する。
=県民ホールは「県と情報共有」=
同地区には権利関係が複雑な土地・建物が多い。現在、土地所有者や建物テナントからの意見を整理している段階だという。都市整備局の鈴木和宏局長は、「まず市が主導してビジョンを示し、各権利者の事業が進むよう後押ししていきたい」と今後の進め方を述べた。
神奈川県が建て替えの方針を固めた県民ホールについては、「県と密に情報共有をしている」(鈴木局長)との状況を説明。また、容積率や高さ制限などを見直す必要があれば、市が協力する意向があることも答えた。
地区計画では、山下公園通り側に幅員3bの歩道状空地を整備するよう定めている。建築物の4階以下に住宅を造ることは不可。高さは原則として31b以下で、一定規模以上の公開空地などを設けた場合は45bに緩和するといった制限がある。
提供:建通新聞社