滋賀県は、推進している「水産試験場本館等整備事業」について、整備手法をPPP/PFI及び従来方式で検討した結果、DB手法(PPP)が最も適していると判断した。
手法検討は、従来型と3つのPPP/PFI手法とのVFM(費用対効果)の比較や建設業者等の参入意欲、県内の建設業者の参入可能性等について調査。定量的評価において、BT手法が1億3400万円〜1億3600万円、DB手法が1億3600万円、DBO手法が9400万円の費用対効果となり、DB手法がVFMの最大となったことや、定性的評価において、県内建設業者等が参画しやすいとの声が多かったこと、維持管理業務をPPP/PFI事業に含めるか否かについて検討したが、水産試験場で外部委託が可能とされた業務が限定的であり、大幅な効率化や費用削減に繋がらないとの考えから、DB手法が採用された。
今後は、来年7月頃にDB事業者選定にかかるCM(コンストラクションマネジメント)業務委託会社を選定し、26年(令和8年)に要求水準書等の策定・公表、同年8月頃に落札者の決定・公表する。その後、議会承認を得て事業者契約へと進めていく。29年(令和11年)4月の供用開始に向け事業推進を図る方針だ。
同事業は、彦根市八坂町2138―3の敷地内にある昭和46年建設の本館(RC造2階建、968平方b)が老朽化により外壁・内壁の剥離やシロアリによる浸食・漏水などが生じていることや、同じく敷地内にある昭和56年建設の魚病指導総合センターの排水処理能力が不十分なこと、昭和56年建設の飼育実験棟・昭和61年の生物工学実験棟においても多様な用途で使用していることからのスペース不足など、施設全体の大規模な工事が必要な状況から事業を計画。過年度に関係者らで協議し、現用地で施設を稼働させながら本館前面を整地し、本館・魚病指導総合センター及び飼育実験棟等の機能を統合、新たな施設を建設する考えをまとめた。本館完成後は直ちに既存施設の解体に着手する。
新施設は、業務効率の向上や課題に柔軟に対応できる機能の確保や省エネに対応する業務スペースの適正化を図り、小・中学生などが水産研究や食に関する体験ができるスペースの配置なども今後検討していく。
同試験場が今後想定している研究ニーズは、▽儲かる漁業の実現に必要な試験研究▽気候変動や生態系の変化などによる新たな課題への対応研究▽増殖・養殖技術研究▽魚病対策研究―などで、新施設でより良い研究体制を確保し、これらの問題解決・成果を求めていく。
水産試験場は、ニゴロブナやホンモロコなど琵琶湖固有種の保護・研究や養殖技術開発の拠点となる施設で、明治時代に犬上郡に開場した。昭和46年に現在地に移転新築し、以降必要施設を建設した結果、現在の規模となった。施設全体の敷地面積は約2万7000平方b。
提供:滋賀産業新聞