新潟市は、中央区の新潟三越跡地付近で計画されている「(仮称)西堀通5番町地区市街地再開発事業」について、再開発準備組合が超高層建築物の施工実績がある建設会社23社に対して新築工事着工を見据えた施工体制を組めるかどうかヒアリングを実施したことを明らかにした。13日に行われた市議会環境建設常任委員会で都市政策部まちづくり推進課が進ちょく状況や今後の対応方針を報告した。
同事業は、地権者による再開発準備組合(小川恒男理事長)が事業主体として開発を推進し、廣瀬および東京建物が事業協力者として参画。2023年度に基本設計および都市再生特別地区の都市計画決定を行い、当初計画では24年度に事業計画認可・本組合設立を受けて実施設計、25年度からの工事、29年度以降の竣工・順次供用を目指していた。ところが、準備組合で事業計画の検討に時間を要し、組合設立認可への申請手続きが難航しているという。施工体制に対応できる建設業者が現時点でいないことや昨今の建設業における人手不足等が主な要因。
12日に準備組合から市に提出された報告資料によると、超高層建築物の施工実績がある建設会社23社を対象に、新築工事着工を見据えた施工体制を組めるかどうかヒアリングを実施したが「スケジュールを含め、37階建て規模の建物は技術的に難しい」や「26年度からの新築工事着工は厳しい」など、現時点で対応可能との回答があった建設会社がいない状況だという。市では24年度の補助金に係る予算7億3350万円を25年度へ繰越もしくは減額を検討している。今後は、着工の目処や事業計画検討のため、25年1月に再度▽新築工事着工を見据えた施工体制が組めるか▽施工可能と時期はいつになるか―について、建設会社へヒアリングを実施。その結果を踏まえ今後のスケジュールに反映させる。支出事業費(工事費等)を見極め、事業計画の確度を高める構え。
計画概要(23年9月時点)によると、西堀通5番町842−1外(敷地約9440平方メートル)に、A街区として複合棟地下1階地上37階建てと駐車場棟A(7階建て)延べ約7万5500平方メートル、B街区として駐車場棟B8階建て延べ約9510平方メートルの計約8万5000平方メートルを整備。複合棟の低層部にオフィスと商業施設を配置し、中層部から高層部に高齢者向け住宅40戸程度、共同住宅約350戸程度を設ける。実現すれば、県内最高層となる高さ約150メートルの商業・オフィス・住宅複合型タワー再開発プロジェクト。22年12月時点における総事業費は約325億円(うち市補助金約136億円)。
デザイン監修は世界的建築家・藤本壮介氏が主宰する藤本壮介建築設計事務所(東京都江東区)、基本計画は梓設計(東京都大田区)が担当。