京都府の石井宏明建設交通部長は11日、12月議会の一般質問で災害に強い丹後半島の道路ネットワーク構築について答弁した。
石井部長は、京都府内の道路啓開計画について「道路啓開計画は、国の防災基本計画に基づき、発災後の道路障害物除去による道路啓開などを迅速に行うため、各道路管理者及び関係機関と連携し、優先する啓開ルートや投入可能な人員・資機材の確保などをあらかじめ定めておくもの。京都府内の計画については、今年2月に国・京都府・京都市が事務局となり、各道路管理者や警察、自衛隊などで構成した『京都府域道路啓開計画ワーキンググループ』を立ち上げ、策定に着手した。計画策定においては、まず、最大の被害が想定される花折断層帯地震を対象とし、今年9月に公表した『京都府域道路啓開計画案』の中間報告では、道路啓開の方針や啓開ルートなどを示した。引き続き、啓開作業事に必要な人員・資機材の確保などについて、関係機関と検討し早期策定に努めていきたいと考えている」と述べ、「『令和6年度能登半島地震を踏まえた緊急提言』を受け、半島防災という新たな視点に立った備えが求められることから、今年度中に京都府北部地域の被害を対象とした計画策定に向けた検討も開始していきたい」と考えを述べた。
次に、一般国道178号(里波見〜長江)道路整備事業について「宮津市から伊根町に至る国道178号の一部区間については、豪雨等による土砂崩れや落石などのおそれがあることから、事前通行規制区域に指定されており、緊急輸送道路としての信頼性に課題がある。そこで抜本的な対策として、令和4年度に海側に道路を拡幅する改良事業に着手後、同事業による海洋環境への影響を具体的に把握するための環境調査を実施するとともに、環境負荷の少ない道路の構造、規模などの検討を進めている」と進捗を報告し、「今後とも国道178号の強靭化に向け、住民・関係者などへ積極的な情報提供を行い、事業への理解・協力をいただきながら、早期の本格着手を目指していきたい」と述べた。
網野岩滝線男山地区について「落石・崩壊のおそれのある法面が複数箇所存在していること、また緊急車両などの円滑な通行に支障となる狭隘区間を有することから、緊急輸送道路としての信頼性に課題がある。現在、信頼性の向上に必要な整備内容、事業手法などについて検討を行っているところで、引き続き、関係機関と連携し、事業実施環境の整備についても取り組んでいきたい」と考えを述べた。
主要地方道宮津養父線(岩屋峠)について「岩屋峠は、隣接する兵庫県との交流・連携の強化や緊急車両等の通行円滑化などを図るため、全長約1・2qのバイパス事業を推進している。地元や関係者の協力により、平成26年度から事業化した第1工区約400mは令和4年度に完成。引き続き着手した第2工区約800mは、用地取得が約30%まで進捗しており、今年度中には一部区間の工事に着手できる見込み」と見通しを示し、「引き続き、関係機関と連携し、緊急輸送道路などの整備・強化を図るとともに、発災後の迅速な道路機能の確保のため、道路啓開計画の策定に努め、災害に強い丹後半島の道路ネットワークを構築してきたい」と述べた。
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主要地方道宮津養父線(岩屋峠)の第2工区は、線形不良で急勾配区間があり、大型バスのすれ違いが難しく、特に冬期積雪時の通行に支障をきたしている状態を解消するため、バイパスを整備するもの。
事業延長は与謝野町岩屋の800mで、幅員は5・5m(9・75m)。
令和5年度に事業化し、総事業費は9億円を見込む。