国土交通省近畿地方整備局と近畿建設協会は12月9日、次世代を担う若者が関西の将来像やインフラの課題などを発信することで、新たな関西広域地方計画の策定や実現に寄与することを目的に「関西広域地方計画若者セミナー〜これからのKANSAI若者から〜」を大阪市内で開いた。
近畿圏広域地方計画有識者会議の座長代理を務める橋爪紳也大阪公立大学特別教授が、関西広域地方計画の検討状況などについて触れ、「キーコンセプトを『KX』、関西トランスフォーメーションとした。これから関西が変わっていくのだという考え方を表したものだ」と説明し、次世代を担う若者に向け、自らが担うであろう未来への提案を求めた。
セミナーでは、今年3月に開かれた同様のイベント「関西ダイアローグ」に参加した若者の中から、建設的な意見を述べた立命館大学の壁菜々美さん、戸田建設大阪支店の田村拓也さん、中央復建コンサルタンツの中村遥さん、高槻市役所の三木穂波さん、神戸大学の山本汐音さんの5人がパネリスト、橋爪特別教授がコーディネーターを務め、「『関西広域地方計画の実現に向けて』若者からの意見反映」をテーマとしたパネルディスカッションを行った。
関西のイメージや課題については、「観光や商業、文化などの多様な機能が分散してあると感じる」や「南海トラフ巨大地震への対策が講じられているが、それ以外の事業に予算がついていないと感じる」、「関東にいた時の関西のイメージは観光のイメージが強かった。経済面の存在感を強化していくことが課題ではないか」、「下水道管などのインフラの老朽化が進んでいる」、「就職活動を通じて感じたのは大阪発祥の企業が東京に移転しているのが悲しい」などの意見が挙げられた。
コーディネーターの橋爪氏は「東京に対する対抗意識よりも、世界の中で関西はどうあるべきなのかという方向にシフトをしていくことが重要ではないかと感じた。今後の計画の参考としていきたい」と締めくくった。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
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