横浜市教育委員会は、新たな大型図書館を整備する方針を明らかにした。中央図書館(西区)の機能を補完し、蔵書の拡充や図書の取り次ぎに必要な物流拠点を備える延べ床面積1万〜2万平方b程度の施設を想定。立地場所や規模の具体的な検討を2025年度に始める。12月12日の市会常任委員会で、市立図書館全体を再整備するに当たっての方向性を説明した。
市内には各区に1館ずつ、計18館の市立図書館が立地。完成から40年以上たつ建物もあり、老朽化が進んでいるだけでなく、近年整備された図書館と比べて閲覧席が少ないという。蔵書の保管機能を担う中央図書館(延べ床面積約2万平方b)の書庫収容量もひっ迫。また、図書館に求められる役割が多様化しており、資料のデジタル化やオンラインでの閲覧も進展している。
これらの社会環境の変化に対応するため、23年度に「図書館ビジョン」を策定。同ビジョンに基づいて、今後10年程度の間に図書館の再整備を進めるに当たっての基本的な方向性を示した。
それによると、1区1館を基本としつつ、現状の課題を抜本的に解決するため、新たな大型図書館を整備することにした。
新たな大型図書館は、電子書籍や動画をはじめとする多様なメディアの提供を検討。VR(仮想現実)などのデジタル技術を利用した体験・交流型のコンテンツなど、図書以外の機能の導入も視野に入れている。
また、市内の各図書館や取り次ぎ拠点に図書を集荷・配送するための大規模な物流拠点を施設内に整備する。
当日の委員会では、新たな図書館の立地場所について教育委員会が「他局を交えて検討中」だと説明しつつ、@物流網が充実A多くの市民が利用してもらえる交通アクセスの良さBまちづくりの状況―との視点を提示。スケジュール感については、他都市の事例を参考にすると、構想スタートから完成まで「10年程度と考えている」と答えた。
この他の既存図書館については、築年数や躯体の老朽度合い、周辺まちづくりの状況などを踏まえて再整備を判断する。短期的な対応として、居心地の向上を目指したリノベーションを実施する予定。また、電子書籍の拡充や、自動貸し出し・返却の導入、ICタグによる蔵書管理といったデジタル技術の導入も積極的に進める。
提供:建通新聞社