静岡県は、静岡県東部の狩野川流域下水道へのウオーターPPPの導入を検討している。県と市町による下水道事業の効率化に向けた取り組み。維持管理と更新に関するマネジメントに民間企業のノウハウを活用することで、職員不足や施設更新に係わる費用の増大などの課題に対応する狙いがある。
ウオーターPPPは、委託する内容によって、管理更新一体マネジメント方式と下水道運営事業(コンセッション)に分けられる。管理更新一体マネジメント方式は、事業期間が原則10年間で、維持管理と修繕を委託する。細かな分類として、維持管理と更新を一体的に実施する「更新実施型」と、更新計画案の策定などを行う「更新支援型」がある。下水道運営事業は、更新工事の実施と計画策定が委託内容に加わり、運営権も受託者に設定される。事業期間も10〜20年の長期間となる。
狩野川流域下水道は、県東部の8市町を範囲とする。同流域下水道は、沼津市や三島市など5市町をエリアとする西部処理区と、伊豆市・伊豆の国市・函南町の3市町がエリアの東部処理区に分かれる。県が所管する同流域下水道の他、各市町が所管する公共下水道を業務範囲に含めるかも検討する。
検討にあたり県は、導入する業務内容やエリアに関する「方策検討業務」の受託者を、公募型簡易プロポーザルで募っている。参加表明書は12月25日まで受け付ける。参加要件として、国や地方公共団体などが発注したウオーターPPPのPFIアドバイザリー業務の受注実績などを求めている。履行期間は2025年9月30日までで、契約限度額は4433万円(税込み)。
方策検討業務ではまず、同流域下水道の課題や、県と市町での共同委託に向けた課題を整理する。次に、事業者に委託する業務範囲を整理するとともに、ウオーターPPPを導入した場合と従来方式で業務を発注した場合の概算事業費を算出し、比較する。並行して、民間企業の参入意欲も確認。これらの調査・検討を経て、3案程度の事業スキームをまとめる。
県内のウオーターPPPの導入状況を見ると、浜松市の一部ではすでに下水道運営事業が実施されている他、静岡市でもウオーターPPP導入に向けた検討が進められている。
浜松市では、公共下水道西遠処理区に位置する西遠浄化センター、浜名中継ポンプ場、阿蔵中継ポンプ場を対象に、18年4月からコンセッション方式が採用されている。受託者の提案によると、従来通り市が運営した場合と比較して、20年間で約86億円のコスト削減効果が見込まれるという。
静岡市は、マーケットサウンディングなどを実施し、24年度内にも対象処理区を決定したいとしている。
提供:建通新聞社