国土交通省近畿地方整備局と阪神高速道路会社、兵庫県、神戸市は12月2日、神戸市内で第2回大阪湾岸道路西伸部事業連絡調整会議を開催。資機材と労務費の増額に加え、地質調査を踏まえた橋梁構造・基礎の見直しなどにより、事業費が約1740億円増額する見通しを示した。今後、近畿地方整備局事業評価監視委員会を実施し、学識経験者などから意見を聴取する予定だ。
事業費増額分の内訳を見ると、橋梁構造の見直しによる杭本数の増加や柱断面の大型化などが382億円、基礎の先端位置・平面寸法の見直しによる軟弱地盤への対応が637億円となった。
事業化時点では、新港・灘浜航路部の橋梁形式について、既存のデータベースから地震時の水平抵抗力を設定し、単独斜張橋を計画していた。事業化後、現地調査でとう曲(※)の位置や大規模地震時の変位量を推定した結果、構造冗長性や維持管理性、景観性の観点から連続斜張橋へ見直したことで追加の費用が必要になった。
この他、資機材と労務費の上昇により、六甲アイランドで358億円、新港・灘浜航路部で458億円増額した。一方、路肩の幅員や箱桁の構造の見直しなどにより、約41億円のコストを削減。引き続き事業費削減の検討を進める。
会議では、近畿地方整備局と阪神高速道路会社が、ポートアイランド以西の暫定4車線化を含めたコスト縮減策を検討することを説明した。また、地方負担を軽減するため、有料事業を拡大する場合は、料金見直しも含めて検討を行う意向を示した。
兵庫県と神戸市は、技術面でのコスト縮減に加え、未着手区間の速やかな工事着手など全線早期開通に向けた効率的な事業施行、事業スケジュールの早期情報提供などを求めた。また、有料事業の拡充について、料金値上げだけを前提とせずにあらゆる方策を検討することを要望した。
■鋼斜張橋工事は優先交渉権者と手続き中
阪神高速道路会社は、技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による新港・灘浜航路工区の鋼斜張橋工事について、既に優先交渉権者を特定し、契約に向けた手続きを進めている。事業者名や契約の時期などは明らかにしていない。
※とう曲―断層活動により地層が変形し、堆積層に傾斜が生じる現象。
提供:建通新聞社