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建通新聞社(静岡)
2024/12/04

【静岡】県・静岡市 12日から行政代執行 日向地区の不適切盛土

 静岡県と静岡市は、静岡市葵区日向地区の不適切盛土について、12月12日から行政代執行による対策工事を開始すると発表した。同地区の盛土は、県砂防指定地管理条例と森林法に基づく許可を得ずに行われたもの。森林法は静岡市が所管しているため、県・市の両者で代執行することとなる。概算工事費は約3億円。
 日向地区(静岡市葵区日向1718ノ1他)は、静岡市街地から北西に20`ほど向かった地点。面積約6fの土地に対して約37・5万立方bが盛土されている。同地から約2・1`の距離には人家2戸があり、土石流による被害の可能性はないが、大量の土砂が河川に流れ込んだ場合に閉塞(へいそく)してしまう恐れがある。
 同地区は国の砂防指定地となっており、土地の掘削や開墾、盛土などを行う場合には県知事の許可が必要となるが、無許可で盛土が行われていた。県は盛土を行った富田建材に対し、2023年4月3日に原状回復命令、24年10月15日に戒告書を通知したものの、履行期限の11月5日までに対策が行われなかったため、代執行に踏み切ることとなった。
 工事では、高さ約45b、延長約140bの区間を対象に、切土と押さえ盛土、水抜きボーリングを実施する。具体的には、地盤が緩い斜面上部の表層を安定勾配で切土するとともに、切土した土砂を下部の押え盛土に利用して安定を確保し、地下水位を抑えるための横ボーリングも行う。また、森林法に基づき、静岡市は独自で植栽工も実施する。代執行期間は26年3月末まで。
 盛土された土砂については、場外に搬出せず、場内の移動のみで済む想定。
 代執行全体の概算見積額は約4億5200万円。このうち、約3億円が対策工事費で、約1億5000万円が事前に行われた土壌調査や設計の費用、残り200万円が静岡市による植栽工の工事費。

■杉尾地区の代執行 東側約半分が完了

 日向地区の近隣で不適切盛土が確認された杉尾地区(盛土量約5・1万立方b)については、23年11月に着手した工事を継続している。現在、敷地東側(盛土量約2万立方b)のうち、半分に当たる1万立方bの土砂撤去が完了している。東側の撤去が終わり次第、西側の撤去に移る。
 西側の撤去については、詳細な測量の結果、東側と比較して地盤の勾配が緩いことが分かったため、部分的に撤去することで安定性を確保する。このため、撤去する土砂量は約6000立方bとなる見込み。
 不適切盛土に対する対応として県と静岡市は、宅地造成および特定盛土等規制法(盛土規制法)に基づく条例の施行に向けた準備を進めている。県は条例案を今後の議会に諮る予定で、静岡市は条例についてのパブリックコメントを実施中。施行開始は2025年5月26日を予定している。


提供:建通新聞社



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