静岡県企業局は、コスト縮減や業務効率化に向けて、階段や水管橋の塗装に新工法導入を検討している。11月28日には、2024年度にNETIS(新技術情報提供システム)に登録された「パワー防錆工法(パワー防錆NKRN−66)」を企業局発注工事に活用するため、試験施工を実施した
。
「パワー防錆工法」は、改良により強度を高めた補修材を活用して、塗装などを行うもの。高い付着性で躯体と一体化して液体や気体を透過させないため、さびを防ぐ大きな効果がある。塗装の他にも、高い強度などを生かしてトンネルのクラック補修などにも活用できるという。NETISへの登録の他、9月に静岡県の「新技術・新工法情報データベース」にも登録された。
試験施工は、静岡県新技術協会の協力を受け、県企業局東部事務所(富士市中之郷2100)敷地内の鉄骨階段で実施。県企業局職員と同協会員の他、中遠農林事務所、磐田用水東部土地改良区などを合わせ約40人が参加し、新工法による工期短縮などの効果を確認した。
県企業局水道企画課の小南嘉宏課長は、新工法に関する説明と試験施工の結果を踏まえ、「企業局発注の工事に採用できれば、従来手法と比較して工期が半分程度で済むのではないか」と期待を寄せる。「パワー防錆工法」を含めた今後の新技術・新工法の活用については、「今後のトータルコスト削減に向けて、積極的に活用していきたい」と語った。
「パワー防錆工法」に関しては、25年度発注工事への採用に向けて、すでに検討が開始されている。試験施工と同様に、県企業局西部事務所(磐田市寺谷2258)内にある階段塗装にも採用する考え。この階段は老朽化が著しいため県企業局は当初、新設を検討していた。「パワー防錆工法」が採用されれば、新設と比較して費用が5分の1程度に抑えられる可能性もある。
県企業局による工業用水道事業は、事業所の使用廃止などに伴い水需要が減少し、収益が減少している。収益確保に向けて、保有施設を民間企業に貸し出す動きなども進んでおり、これに加えて新技術の採用やデジタル化を推進することで、経営課題の改善を図る考え。
提供:建通新聞社