富山県建設業協会の竹内茂会長らは27日、県庁に新田八朗知事を訪問し、公共事業予算の持続的・安定的な確保などを求める要望を行った。
同協会から竹内会長、山本隆・大橋聡司副会長、常任理事ら17人、県は新田知事、金谷英明土木部長、津田康志農林水産部長、両部の担当課長らが出席。新田知事に要望書を手渡した後、あいさつした竹内会長は「我々は、地域の生活や経済の基盤となる社会資本整備の担い手のみならず、災害時の応急対策や除雪など、地域の安全・安心の守り手としての社会的使命も担う。働き方改革や生産性の向上、担い手の確保・育成などの課題に取り組み、建設業の使命を果たしていきたい」と述べた。その後、協会の加藤昭悦専務理事が要望内容を説明した。
新田知事は「22日に政府の新しい総合経済対策が閣議決定された。国民の安全安心の確保が柱の一つ。必要な公共事業予算の確保に努め、私の政策の一つである令和の公共インフラ・ニューディール政策を計画的、強力に進めるため、国や市町村と連携して進めていきたい。今後も地域の安全安心の確保、担い手として一層の協力をお願いしたい」と話し、要望事項への回答を述べた。
公共事業予算の確保に関しては、「令和6年度補正予算は、十分な公共事業予算が確保できるよう要望しており、速やかに受け止められるように準備している。令和7年度当初予算も必要な予算の確保に努める」と答えるとともに、「国土強靱化実施中期計画を早期に策定し、必要な財源を通常とは別枠で確保するよう今後も強く要請していく」と答えた。
資材価格高騰への対応については「今後も最新の実勢価格を反映した工事価格の設定に努める。単品スライド条項は令和4年10月に運用ルールを改定し、受発注者ともにスムーズな運用に留意してきた。今後も適切な運用を徹底する。単品スライドの1%ルールは全国一律での運用であり、協会からの撤廃要望は国に伝える」と語った。
入札契約制度改革のうち、各地域の実態を踏まえた仕事量の確保では、「各土木センター、事務所で地域ごとの受注状況を把握し、工事の規模や施工時期、工期を適切に設定するなど、きめ細かな対応に努める。設計、用地ストックの確保も努めたい」と話した。
土地改良工事では「夏場施工の推進、手戻りが発生しないよう地元調整に取組み、休耕補償制度を調査・研究し、現場条件に合わせた適切な時期での施工が行われるよう取り組む」、林道・治山工事では「ゼロ国の活用、早期発注、適正な工期設定に努める。歩掛や補正係数は現場条件に即した適切な設計となるよう努める」、営繕工事では「現場状況や施工条件の十分な確認を行い、市場性を考慮した適正な価格、工期の設定に努める」とそれぞれ回答。
働き方改革と生産性向上の推進では「今年度から週休二日工事に名称を変更して取り組んでおり、適切な工期設定に努めていく」とし、「発注に当たっては設計精度の向上に努め、現場条件が変更された場合は適切に設計変更を行う。3者連携会議の積極的な実施、ワンデーレスポンスの推進に引き続き取り組む」とし、「富山県版の工事書類スリム化ガイドは、協会との意見交換を踏まえ、相互に実りのあるものとなるよう努め、書類の簡素化にも引き続き取り組む」と述べた。
担い手の確保・育成対策では「工業科への建設系学科の新設を含む、学科とコースの見直しの協議を続けている。今後も子供と保護者に建設業の新4Kの魅力を発信したい」と語った。
市町村に対する担い手3法等の遵守に係る指導では「北陸ブロック発注者協議会県部会を8月に開き、県内建設業の状況や公共工事の発注者としての共通認識を確認した。国とともに業界団体から状況を聞き取り、必要があれば当該市町村に改善を促すなど対応に努める」と説明した。
除雪体制の確保では「最低保証制度、休日割増は国の動向を注視したい。ワンオペレーター除雪では今年度、県内全域でモニターの募集を行い、5機種12台の試行を予定している。安全面の課題と効果を検証していく」と回答した。