12月県議会が26日に開会。全社辞退により入札不調となった新県立体育館整備・運営事業に関し、12月補正予算案に債務負担行為の限度額変更が上程された。補正前に254億3,564万1,000円だった限度額は、補正案が議決されれば364億3,564万1,000円となる。26日の本会議で知事説明を代読した神部秀行副知事は「当初の予定通り、令和10年秋の開館を目指す」と述べた。県は要求水準書の内容を変更しない形で、12月に再公告したい考え。
計画は、既存の県立体育館(秋田市八橋運動公園1−12)が令和10年に目標使用年数の60年を迎えるため、人口減少も見据えてスポーツ科学センターの機能も統合した新施設を現体育館の北東側(丘周辺)に建設するもの。
事業はPFI法第7条に基づく特定事業に選定。特定事業の対象は、新県立体育館(駐車場、ロータリー、緑地、遊具等の外構含む)の設計、建設、工事監理、維持管理および運営で、BTO方式により発注。今年7月に総合評価一般競争で公告し、各業務を行う者を含むグループの参加を募った。
入札には4グループから入札参加の表明があり、11月1日の開札を予定していたが、全グループが入札を辞退したため、県は4グループへのヒアリングを実施。全グループが見積額と予定価格(254億3,476万1,000円)の大幅な乖離をあげたため、施設整備費として見込んでいた200億円を110億円増額し、維持管理・運営費等を含めた事業費は、364億3,564万1,000円となる。
26日の本会議で知事説明を代読した神部秀行副知事は、事業者らに対する聴き取りの結果について、「首都圏などで同時並行的に進む巨額な再開発事業や、民間によるハイグレードのオフィスビル・マンション等の建設需要が急増し、大規模建設物を手がける総合建設業者が相当規模の受注ストックを抱えていることを背景に、資材価格や労務費が短期間で高騰している。人材や富を含め、東京をはじめとする大都市への集中が過度に進んだことが影響していると捉えている」と説明。
そのうえで「新体育館の整備は現施設の老朽化に伴うもの。できるだけ早期の建て替えが必要なほか、各種の価格上昇が今後も継続すると見込まれる。実勢を踏まえて事業費を増額し、当初の予定通り令和10年秋の開館を目指していく」と述べた。
令和10年秋の開館は、秋田ノーザンハピネッツがバスケットボールのBリーグプレミアに参入する条件の一つでもあり、県は事業者選定を急ぐ考え。今議会で事業費が議決されれば12月に再公告し、7年2月の入札書・提案書提出、3月の審査・落札決定を目指す。
提供:秋田建設工業新聞社