京都府の西脇隆俊知事は21日、向日町競輪場内に計画の京都アリーナ(仮称)整備・運営等事業について、伊藤忠商事梶i東京都港区)を代表企業とする計10社のグループを優先交渉権者に選定したと発表。提案された事業コンセプトについて概要を明らかにした。
西脇知事は「12月議会に京都アリーナ(仮称)整備等事業費に係る債務負担行為を提案し、348億円規模で設定することとした(設定期間は令和6〜39年度)(12月補正予算では歳出予算は計上せず、債務負担行為のみを提案)。アリーナの整備運営にあたっては、利用者満足度の向上と府民負担の軽減が重要と考えることから、今年5月から公募型プロポーザルによって、民間のノウハウや創意工夫を生かした設計施工から維持管理・運営までの一括提案を求めてきた。幅広く公募した結果、国内各地のアリーナの整備運営の実績を有する事業者グループから提案があり、外部有識者も含めて内容を審査してきたが、このたび、伊藤忠商事を代表企業とする事業者グループを優先交渉権者に選定した。所要経費として債務負担行為を設定し、12月議会で提案を予定をしている」「事業者からの提案内容については、施設規模は8000人以上収容可能な施設の提案を求めてきたが、昨今の他府県におけるアリーナの整備状況も踏まえ、他施設との競争性を高めるために必要となる9000人程度との提案があった。ゆとりあるアリーナ競技面や防災拠点としての高い耐震性能など、公募時に想定していた仕様よりも充実した部分もあり、必要な機能を満たす提案となっている」「施設整備について、建設物価上昇の影響を受けながらも建築単価を低減しており、同規模の施設を公共事業として整備した場合に比べて、23・5億円のコスト削減を図っている。施設整備に対する府の割賦の支払額の軽減策として、10年間で12億円のネーミングライツ収入を獲得する提案となっている。維持管理・運営については、当初は10年で14・5億円の府の負担を想定していたが、施設規模や仕様の拡充により、稼働率の向上等を図ることで運営開始当初10年間は府の負担が生じない提案内容となっている。このように公共事業で整備運営した場合に比べて府民負担の軽減を図ることにより、今回348億円規模の債務負担行為の設定金額となっている」「災害などの有事における避難場所等の防災機能を完備していることから、緊急防災減災事業債など有利な条件の財源充当を今後検討するとともに、さらに稼働率等の計画が上振れした場合に、府への一定の利益の還元や民間テナント収入などにより、府民負担の最小化をこれからも図っていきたい」「提案コンセプトに関する内容について、今後、優先交渉権者と内容調整を行っていくため、具体的な事業計画等については改めて説明する。事業者グループの提案コンセプトは〈京都らしさ、「和」を感じられる京都のシンボルとなるアリーナ〉〈世界大会から府民利用までスポーツ・文化の拠点となる多用途施設〉〈競輪場との一体計画により地域住民の交流拠点となる開かれた空間〉〈スポーツ教室や地元に根ざした自主事業の展開など地域に愛されるアリーナ〉〈災害などの有事において避難場所等の防災機能を完備〉という提案をいただいている。スポーツや経済振興などまちづくりにつながるような提案と考えている」「イメージ図の通り、エントランス前にオープンスペースを設けて、地域住民の交流拠点として開かれた空間が設けられ、そこで地域のイベントが開催されることも想定されている。スポーツだけでなく、コンサート等の様々なイベントにも活用いただき、京都のシンボルとなるスポーツ・文化の拠点として、老若男女すべての方々に満足いただける施設にしていきたいと考えている」「今後のスケジュールについては、今回の予算案が議決されれば、(令和7年)2月議会において契約議案を提出の上、7年3月から設計業務に着手し、(〜令和10年7月)10年10月の開業を目指したいと考えている」と述べた。
S造5階建、延約3万u規模
令和7年2月契約、3月設計着手 審査講評によると、2つの事業者グループ(事業者グループ@(代表企業・伊藤忠商事梶j、事業者グループA(代表企業・鞄血高岳))から申請があり、2グループともに参加資格要件等を満たすことを確認した。
その後、事業者グループAは、企画提案関係書類の提出を辞退(応募を取下げ)した。
外部有識者で構成する「京都アリーナ(仮称)整備・運営等事業プロポーザル選定に関する意見聴取会議」で企画提案書について評価を行った。
提案審査の結果、事業者グループ@の総合評価点は797・90点(企画提案評価点497・90点+価格点300点))とし、優先交渉権者に選定した。
優先交渉権者の事業者グループ@の代表企業・構成員及び実施体制は、代表企業の伊藤忠商事梶i設計・整備期間のプロジェクトマネジメント)、構成員の活イ設計(設計)、椛蝸ム組(建設)、鞄d通(維持管理・運営期間のプロジェクトマネジメント)、潟nリマビステム(維持管理)、協栄ビル管理梶i維持管理)、伊藤忠アーバンコミュニティ梶i維持管理)、シンコースポーツ梶i運営)、NTT・TCリース梶iファイナンス)、京銀リース梶iファイナンス)。
設計・建設期間は令和7年3月から10年7月。開業時期は令和10年10月。維持管理・運営期間は令和10年7月〜20年3月(9年9ヵ月)(第1期)、20年4月〜30年3月(10ヵ年)(第2期)、30年4月〜40年3月(10ヵ年)(第3期)。10年毎の契約更新により計29年9ヵ月の維持管理・運営を想定。
提案によると、事業方式はDBFO方式(竣工したアリーナ施設の建物本体(躯体等)を府が取得、維持管理・運営のために事業者に土地及び建物を無償貸付)。
アリーナ施設はS造5階建、延2万9774・56u。座席数はスポーツ利用が8925席、コンサート利用が9328席で、競技面は68m×48mのメインアリーナ、38・7m×22・5mのサブアリーナで構成する。
提案価格としては施設整備費及び維持管理・運営費に348億円。