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建設経済新聞社
2024/11/22

【京都】令和7年度「雨に強いまちづくり」主要事業案 薬師谷池の防災工事支援

 京都市は、「雨に強いまちづくり」の令和7年度の主要事業案をまとめ明らかにした。
 主な内容をみると、建設局は、流域治水関連で「氾濫をできるだけ防ぐための対策」として、一級河川の指定区間のうち17河川を市の都市基盤河川として指定しているが、令和7年度整備予定は7河川(西羽束師川支川、善峰川、有栖川、新川、西野山川(本川・支川)、東高瀬川)。このうち新川については、これまでに引き続き河川改修(西京区川島莚田町付近)を進める予定。
 上下水道局の令和7年度の取組内容は、流域治水関連で「氾濫をできるだけ防ぐための対策」として、烏丸丸太町幹線を令和7年度の運用開始に向け、現在整備中。
 鳥羽第3導水きょの整備(令和9年度運用開始)等を引き続き進める。
 産業観光局の令和7年度の取組内容は、流域治水関連で「氾濫をできるだけ防ぐための対策」として、市内25ヵ所の防災重点農業用ため池のうち、防災工事が必要な薬師谷池(西京区大原野)について、大原野土地改良区が実施する防災工事を支援する。防災工事は令和7年度から9年度までの3ヵ年での実施を予定。
 他の防災重点農業用ため池については、京都府が実施する防災工事の必要性評価を踏まえ、土地改良区等と協議の上、順次、事業化を検討していく。
 流域治水関連で「氾濫をできるだけ防ぐための対策」として、森林組合等が実施する造林・保育等や風雪害対策、間伐を支援。
 全庁(主担当・産業観光局)の令和7年度の取組内容は、公共建築物におけるみやこ杣木(市内産木材)の率先利用、民間建築物におけるみやこ杣木(市内産木材)の利用支援、官民連携によるウッド・チェンジの推進。
 事業間連携による雨に強いまちづくりをみると、白川流域・左京区南部地域の今後の取組内容は、府が砂防堰堤の堆積土砂撤去(桜谷川)、市建設局が白川及び沈砂池の対策検討。
 安祥寺川流域・山科北部地域の今後の取組内容は、府が流木対策(流木捕捉時の渓岸保護を目的とした護岸整備)、京都府及び市建設局が安祥寺川の河川改修。
 有栖川流域・有栖川右岸地域の今後の取組内容は、市上下水道局が排水樋管の改造、市建設局が有栖川の河川改修。
      ◇      
 大原野土地改良区が計画の薬師谷池の防災減災事業について、これまでに明らかになっている内容をまとめた。
 薬師谷池(京都市西京区大原野灰方町1302)は、大原野灰方町他の農地6・1fを灌漑している当該地域の主水源施設。ため池の堤体は耐震照査で堤体の規定の安全率を満たさず、危険な状況なため、緊急的な堤体改修が望まれている。また洪水吐は流下能力不足で、取水施設は老朽化しており、早急に改修を行う必要がある。
 改修補強工法について、取水施設は(斜樋)スライドバルブφ150×1孔、スライドバルブφ150×1孔(緊急放流孔兼用)及び(底樋)φ800、プレキャスト底樋管、土砂吐ゲート(600×600)、洪水吐は(洪水吐)水路流入式三面張鉄筋コンクリート造及び(放水路等)鉄筋コンクリート三面張長方形水路、堤体は(法面保護工)上流側は張ブロック(1対2・0)、下流側は土羽(1対2・0)。このほか、漏水防止工法として前刃金工法により止水を図る。
 環境への配慮として、植物は工事前に表土ごと移設し、工事後の復旧時に表土ごと復旧する。昆虫類は工事影響範囲を必要最小限度にとどめることで影響が少なくなるように配慮する。水生昆虫と両生類は近隣のため池に移動させ、工事完了後には元のため池に戻す。
 令和6年度に実施設計を進め、7年度から仮設工にとりかかり、7年度から8年度に堤体工、8年度及び9年度に堤体付帯工、8年度に洪水吐工、7年度から8年度に取水施設工を実施する計画。
 総事業費は2億5998万円を見込む。内訳は工事費2億1290万円(▽堤体工4140万円▽堤体付帯工1570万円▽洪水吐工3150万円▽取水施設工2530万円▽仮設工9900万円)、測量試験費3250万円、用地補償費220万円など。
 総費用総便益費(B/C)は5・85と算出した。