京都市は19日、現在稼働している東北部クリーンセンター、北部クリーンセンター、南部クリーンセンターの3クリーンセンターのうち、最も古い東北部クリーンセンターの後継施設となる次期クリーンセンター(以下、CC)整備の検討を開始することを明らかにした。
松井孝治市長は、10月31日開催の市会決算特別委員会(総括質疑)で、東北部CCの後継施設となる次期CCの整備候補地として、旧西部CC敷地を検討していることを表明していた。
11月19日開催の市会環境福祉委員会に報告した内容によると、まず次期CCの必要性について「CCはごみを適正処理し、市民の快適な生活環境を確保していく上で重要な施設であり、計画的に整備することが重要。また施設を安定的に稼働させるためには毎年オーバーホール等の定期点検整備が必要で、この期間は焼却炉を停止するため、他の工場で市全域のごみを適正処理できるよう、計画的な施設の点検整備を実施している。今後、東北部CCの後継施設がなければ、1つの工場の点検整備中に稼働できるCCは他の1工場となり、さらに施設の故障や災害等が発生した場合にはリスク分散ができず、市全域のごみ処理が滞る。そのため、東北部CCの稼働停止に合わせて後継施設となる次期CCの整備が必要となる」とした。
次期CCの建設候補地については「広い敷地面積を要する次期CC建設のための新たな用地取得を行うとなると多額の費用等が必要になるが、既存資産の有効活用を図ることで、将来的な財政負担を軽減することができる。既にごみ処理場の都市計画決定を受けている市所有地のうち、次期CCの建設が可能な場所として、以前に西部CCが稼働していた敷地を候補地とする」とした。
旧西部CC敷地は京都市西京区大枝沓掛町26の敷地面積約8万7000u(山林部分等も含む)。旧西部CCは昭和46年度に竣工。その後、平成16年度末に廃止となり、平成19年度に建屋を流用し、プラスチック製容器包装圧縮梱包施設が竣工。令和4年度末に同施設を廃止。以降、プラスチック類の中継地として運用。
次期CCの整備方針としては、@施設規模や処理方式等(令和6年度から行う「京(みやこ)・資源めぐるプラン」の中間見直しと合わせて、京都市廃棄物減量等推進審議会に諮問し、中間見直しにより強化される資源循環施策や様々な技術的課題に係る議論等も踏まえ、次期CCの施設規模、ごみの処理方式や排ガス処理方式等について今後検討していく(主な技術的課題は▽2050(令和32)年CO2排出量正味ゼロへの貢献▽最終処分量の削減(東部山間埋立処分地の延命)▽ライフサイクルコストの低減▽災害時も継続して稼働できる施設及び設備の強靭化等)A持込ごみの受入れ等その他の機能(現状では、南部CC及び東北部CCの2ヵ所で持込ごみを受け入れているが、東北部CC稼働終了に伴い、次期CCにおける持込ごみの受入れのあり方等、その他の機能について検討を行う)Bごみ処理の広域化(ごみ処理の広域化による焼却施設の集約化は、スケールメリットにより、トータルコストの削減や、発電効率の上昇に伴うCO2削減に加え、災害時の処理余力確保にも貢献する。令和6年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」においては、「戦略的な社会資本整備」の中で「広域的・戦略的なインフラマネジメントの実施」による効率化が示され、環境省においても、ごみの持続可能な適正処理の確保に向けて、ごみ処理の広域化・集約化に向けた取組を強力に推進している。そのため市においても次期CCの整備検討を行うに当たり、ごみ処理の広域化についても検討を行う)C今後の予定(次期CCについては、環境影響評価に約4年(令和8〜11年度)、建設工事に約6年(令和13年度〜)と、検討から稼働開始まで10年以上の年月が必要となることから、令和6年度から予定している京・資源めぐるプランの中間見直しとともに、審議会に諮問し、検討を開始する。次期CCについては、検討から稼働、稼働停止まで概ね半世紀にわたって地元と関係が続いていくものであり、建設候補地の周辺住民と信頼関係を築いていくべく、適時丁寧な説明を行い、理解を得られるよう対応していく)。
予定スケジュールとしては、令和7年度末に京・資源めぐるプランを改定、8年春頃に次期CC整備方針を策定、同年夏以降に次期CCに係る環境影響評価を開始する。その後、令和12年度の入札事務を経て、13年度に工事契約し、建設工事にとりかかり、19年度頃の稼働を目指す。