愛知県は、12月補正予算案を11月15日付で公表し、愛知県基幹的広域防災拠点整備事業のうちPFI手法で整備する消防学校費に、約163億円の債務負担行為を設定、計上した。消防学校は2025年1月に実施方針を示し、2月に入札公告を行う計画。この他、予算案には愛知芸術文化センターの活性化に向けたPFI手法による運営等の実施に対する事業費として約226億円を債務負担行為として計上。また、新体育館整備推進費の増額、知多総合庁舎・知多多福祉相談センター集約化整備事業費費の減額などがあり、全体としては1億1636万円の減額となっている。この補正予算案は、12月2日に開会予定の県議会12月定例議会に上程する。
県が豊山町で計画している基幹的広域防災拠点整備事業(防災拠点区域19・2f)は、PFI法に基づくBT方式+コンセッション方式による入札が、不調、不落となったことから、事業手法および事業単位を見直し。消防学校(1期)と防災公園(2期)に分けて、それぞれの単位として整備することを6月に公表した。このうち消防学校については、県と名古屋市が、全県で一貫した消防教育を行う消防学校を、全国で初めて共同設置し、防災教育体制の強化を図るとした。
整備に向けては、BTO方式・サービス購入型により実施するものとし、7月にアドバイザリー契約を三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)名古屋(名古屋市中区)と締結、事業費の検証、マーケットサウンディングを行った。事業費の検証では、学校に配置する街区訓練施設などの防災拠点、消防学校特有の施設・設備が、一般の工事では使用頻度が低く、最新の市場での取引価格が反映されにくいことから、ヒアリングなどで、実態の把握に努めて積算。今回の補正では、債務負担行為として163億5305万円を設定しており、内訳として、設計・建設費に約155億円、20年間の維持管理・運営費に約8億円を見込んでいる。
BTO方式導入による効果として、VFMを約5%、費用削減効果を約8億円と試算。事業期間は、設計・建設が25〜28年度、29年度に開校、維持管理・運営を29〜48年度までの20年間として設定した。
敷地面積は6・1f。県の整備イメージは、教育棟、救助訓練棟・雨天訓練設備、可動式模擬家屋を用いた街区消火訓練場、複合訓練施設、管理・教育棟、屋外訓練場、震災訓練場、土砂災害訓練場、水難救助訓練場、宿泊棟を想定している。詳細は、PFIによる提案に基づき決定する。
【知多総合庁舎等集約整備 見直しで債務負担約24億円】
その他の予算は、知多総合庁舎・知多福祉相談センター集約化整備事業費で、12億6479万円を減額。併せて、債務負担行為で23億9046万円を設定した。これは、新庁舎建築工事における工程の見直し等に伴い、24年度予算の減額と債務負担行為を設定した。
文化施設活性化推進事業費では、債務負担行為で226億1757万円を設定。これは、PFI手法による愛知芸術文化センターの建物管理および芸術劇場の運営の事業費として措置した。
あいち型産地パワーアップ事業費補助金には5000万円を計上し、農作物の産地の生産力向上を図る施設整備を支援。新体育館整備推進費は、8億3394万円を増額し、同整備に伴う賃金と物価の変動に伴うサービス購入料の増額に対応する。
高等学校施設長寿命化推進事業費には1億2659万円を追加計上し、併せて債務負担行為として64億0345万円を設定。春日井高校の校舎建築工事等における賃金と物価の変動などに伴う24年度予算の増額および債務負担行為を設定した。
その他、災害救助事業費に1918万円を計上し、蒲郡市始め6市1村に補助する。農地施設災害復旧費で、現年災害復旧事業費に1億0971万円、災害荒廃地復旧費で、現年災害復旧事業費に495万円、土木施設災害復旧費には、債務負担行為として、公共土木施設の災害復旧工事に2億1900万円を設定した。
提供:建通新聞社