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秋田建設工業新聞社
2024/11/19

【秋田】新県立体育館施設整備に110億円増額/要求水準書は変更せず12月再公告

 県スポーツ振興課は、全社辞退で入札不調となったPFI法第7条に基づく特定事業の新県立体育館整備・運営事業に関し、入札参加を表明した事業者へのヒアリングを実施した結果、施設整備費を110億円増額し、12月に再公告する方針を固めた。19日の県議会産業観光委員会で示した。12月議会に債務負担行為の増額補正を提案し、承認後に再公告する。事業を速やかに進めるため、施設に求める仕様などを示した要求水準書は、前回の内容から変更しない。

 新県立体育館整備・運営事業は、現体育館(秋田市八橋運動公園1−12)が令和10年に目標使用年数の60年を迎えるため、人口減少も見据えてスポーツ科学センターの機能も統合した新施設を建設するもの。今年7月に公告し、4グループから入札参加の表明があったが、全グループが入札を辞退した。

 辞退を受け、県は今月8日まで4グループへのヒアリングを実施。辞退理由として、全グループが見積額と予定価格(254億3,476万1,000円)の大幅な乖離をあげたことから、施設整備費として見込んでいた200億円を110億円増額し、310億円とする。これにより、維持管理・運営費等を含めた事業費は、254億円から364億円となった。12月に再公告し、7年2月の入札書・提案書提出、3月の審査・落札決定を目指す。

 同事業では公告までの間も段階的に事業費が増額されており、委員からは「県の見通しが甘かったのではないか」「110億円を負担するのは県民。納得する説明が欲しい」といった厳しい意見が相次いだ。

 県は、設計事業者や建設事業者などへのサウンディングも踏まえて当初の予定価格を設定。7月の公告時点では、予定価格が適正価格だったため入札参加表明もあったと説明。公告から入札までの4カ月の間に円安など社会情勢が変化したことや、首都圏での再開発などによる県や事業者も見通せないほどの建設需要の急増、需要増に伴う資材価格や労務費などの高騰を不調の理由にあげた。増額した110億円については、約半分が県の実質負担となる見通しで、増額費の内訳など詳細については12月議会で示す。

 秋田ノーザンハピネッツがバスケットボールのBリーグプレミアに参入する条件の一つである10年秋の開館を目指すには、12月の再公告が最後のチャンス。公共事業の入札不調は全国的に発生しており、3月の事業者決定まで順調に進めるためには県の積極的な姿勢が必要だとして、委員は4グループ以外の様々な事業者へのヒアリングや調査、地方の公共事業の現状に対する国への支援要望などを県に求めた。

提供:秋田建設工業新聞社