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北陸工業新聞社
2024/11/18

【新潟】津波対策、形状など議論へ/保倉川放水路新部会が初会合/整備局高田

 北陸地方整備局高田河川国道事務所は13日、保倉川放水路治水対策・防災まちづくり検討部会の初会合を上越市内で開催した。
 本部会は関川水系河川整備計画の変更原案に対する関係住民の意見を踏まえ、保倉川放水路を中心とした治水対策やまちづくり、防災について検討することを目的とし、河川や地震、津波、まちづくりの専門家・学識者等で構成される。
 冒頭、部会長に選出され、あいさつに立った土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センターの小池俊雄センター長は、上越市が能登半島地震に伴う津波に襲われたことに触れた上で、「この機会をどのように生かすかがこの検討部会の使命。防災では負のものを正常に戻すことにとらわれがちだが、流域委員会ではさらに良い地域づくりに向かうというビジョンで議論してきた。『防災まちづくり』という言葉には、さらににぎわう、地域コミュニティが活性化する、といった意味が込められていることを念頭に議論を進めてほしい」と呼び掛けた。
 議事では、保倉川放水路事業のこれまでの経緯を振り返るとともに、本部会での検討事項を確認した。なお、午前中に放水路河口予定地(上越市八千浦地内)等の現地視察を行った。
 2023年12月に示された保倉川放水路整備を含む「関川水系河川整備計画変更原案」に対する関係住民への意見聴取では、能登半島地震での事例から津波遡上による被害に懸念を示す声が多く聞かれたほか、放水路ルート周辺住民の生活再建時期、今後のスケジュールの早期公表を求める声が寄せられた。これを踏まえ、本部会では次の側面から検討を行う。
◆治水対策
▽整備する保倉川放水路の最終的な形状
・河川管理施設(堤防、護岸、樋門、放水路河口部の施設、保倉川本川からの分派施設等)の形状検討
・附帯施設(橋梁等)の形状検討
▽周辺環境・景観と調和が図られた施設計画等
◆防災
▽L2津波・L2洪水による被害最小化に向けた取り組み
・ハザード情報の把握、避難や防災施設配置のあり方等の検討
◆まちづくり
▽保倉川放水路整備に伴う地域への影響
・放水路整備に伴い分断される道路ネットワークの再構築、橋梁新設
・放水路整備に伴う土地利用の変化(農地分断等)への対応
・放水路整備に伴う都市施設(公園、集落コミュニティ関係施設等)の配置計画検討、整備
・放水路の水辺空間を活用した憩いの場創出
 今後は関係住民への説明や意見聴取を複数回にわたって実施しながら本部会での検討を進め、「保倉川放水路の治水対策、防災まちづくり計画」の策定を目指す。
 保倉川放水路は、本川に延長3キロの放水路を整備し、治水安全度向上を図るもの。直接経費は866億200万円(本工事費571億5400万円+附帯工事費212億5300万円など)となっている。

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