本県における6年度上半期(4〜9月)の入札不調発生状況は、開札件数986件のうち不調件数は173件で、発生率17.5%だった。不調発生率は令和2年度が4.5%、3年度が5.3%、4年度が8.8%と1桁台だったが、5年度に14.2%と大幅増。慢性的な技術者・技能者不足の中、豪雨災害の復旧工事が増加したことにより、不調の発生率が直近5年で最多となった。県は不調を回避するため、発注要件の緩和や入札参加が可能な等級の拡大など対策を講じている。
入札不調の発生状況を地域別に見ると、発生率が高い順に山本地域(発注件数143件、不調件数53件、発生率37.1%)、北秋田地域(同144件、32件、22.2%)、秋田地域(同301件、66件、21.9%)などとなっている。いずれも豪雨で大きな被害を受けた地域で、昨年度から不調発生率が増加(5年度発生率:山本地域31.2%、北秋田地域29.4%、秋田地域13.8%)。
工種別では給排水暖冷房衛生設備が不調発生率25%(発注件数24件、不調件数6件)と最も高く、次いで法面が24.3%(発注件数37件、不調件数9件)、一般土木が24.1%(発注件数609件、不調件数147件)となっている。不調発生率は給排水暖冷房衛生設備と法面が昨年度と同程度だが、一般土木は増加しており、災害復旧の増が原因と見られる。
不調が増加した要因としては、慢性的な技術者・技能者不足の中、4年度から毎年、発生している豪雨災害からの復旧により工事発注件数が増加したことが大きい。地域によっては、風力発電事業などで民間の工事発注が増加したことも一因となっている。
県は不調対策として、技術者の配置要件緩和や発注時期の平準化、発注見通しの順次公表、工期の柔軟な設定、工事の一括発注及び発注ロットの大型化などを実施している。工事発注では、特定建設工事共同企業体を要件とする工事について、不調の可能性が高い場合は1億円以上3億円未満の工事を単体で発注し、不調の回避に繋げている。
今年10月からは、入札不調の可能性が高い工事で参加が可能な等級を拡大。例えば一般土木では、複数のC級対象工事を1件にまとめて発注する際、これまでは参加要件をB級に引き上げた場合にC級は参加ができなかったが、B・C両方の参加が可能となった。
また、慢性的な技能者・技術者不足を解消するため、担い手確保の取り組みも推進。4年度に設立した秋田県建設産業活性化センターを中心とする建設業のイメージアップ・PR活動などを継続するほか、今後は県外から本県に移住する「Aターン人材」や外国人材の活用についても、業界と意見交換しながら進めていく。
提供:
秋田建設工業新聞社