北海道建設新聞社
2024/11/11
【北海道】倶知安町リゾートで開発許可低迷
倶知安町が景観地区条例などの改正により、建築ルールを強化して1年が経過した。この間、リゾート地区での開発行為許可は3件にとどまり、大型ホテルの計画は見当たらない。開発の余地は残っているものの、関係者からは「ブレーキがかかっている」との声が聞こえる。
町は2023年10月1日付で規制を強化した。ホテル・旅館を建設できる地域は、ひらふ坂周辺や道道蘭越ニセコ倶知安線沿い、ニセコHANAZONOリゾート周辺に限定。これら以外では適用除外の許可を受けなければならず、大型の建物(延べ3000−1万u)を建てるには最低開発面積10㏊以上が必要となる。高さはHANAZONOリゾート、ニセコワイススキー場周辺を対象に一定条件を満たした場合のみ、33mまで認めている。
23年度に道から許可されたリゾートエリアでの開発行為6件のうち、規制強化前の9月末までに受けたのが4件で、残り2件が10月以降。大規模ホテルを伴う計画2件はどちらも上半期(4−9月)に許可を受けた。一方、24年度の許可数は上半期段階で1件にとどまる。
町内に本社を置く開発事業者の幹部は「昨年は規制前に開発行為の許可だけでも得ようと駆け込み需要があった」と話す。
ホテルなどの建設が禁止となった地域でも26年9月末までに建築工事に着工すれば、当初の計画で進められることから「今後、設計などの動きが加速する」と続ける。
一方、コンドミニアムなど多くの施工実績を持つ管内ゼネコンの幹部は「ルール強化の影響はある。より広い土地が必要になり、今まで通りにはいかない」と漏らす。
行政関係者も「ホテルを建てられるエリアが限られたことで、事業が成り立たなくなったとの話はよく聞く」とし、倶知安町よりも土地が安い真狩村や蘭越町での開発に関する相談が来始めているという。
ただ、倶知安町内での開発にはまだ余地があるとの見方が多い。前出のゼネコン幹部は「将来的にはヴィラ(別荘)タイプが中心になる可能性がある」と見通している。