神奈川県立病院機構は、足柄上病院の再整備について、基本構想から見直すことを明らかにした。コロナ禍で発展した医療DXの視点を取り入れ、感染症対策に重点を置いていた現行の整備方針を転換する。建設工事費の高騰も考慮し、より現在の病院の状況に合わせた再整備となるよう検討し直す考えだ。今年度に改めて基本構想を策定し、2025年度に基本設計と実施設計、26年度以降から工事に着手することを想定している。
足柄上病院は県西地域の基幹病院。鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上5階建て延べ5343平方bの1号館、鉄筋コンクリート造3階建て延べ3402平方bの2号館、鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上5階建て延べ1万5091平方bの3号館がある。施設が老朽化しており、災害対応や高齢期の回復期医療などへの対応が難しくなっていたことから、最も古い1962年に建てられた2号館を新築し、1号館と3号館を改修する計画だった。
新型コロナウイルス感染症が感染症法上5類感染症に移行し、一般的な病院でも受診可能になったことから、足柄上病院の病床を感染症対策に特化する必要性が低下。建設工事費の高騰も考慮し、新築する病棟の規模などを小さくする方針で検討する。2024年8月末時点では、従来の再整備にかかる費用は約78億円と試算していた。
現行の基本構想に基づく設計では感染症対策を重視。一般患者と発熱患者の動線を分け、一般病床を感染症病床に変更できるようにする設計だった。
今年度に病院機構が基本構想を策定し、2025年度に基本設計と実施設計、26〜28年度に2号館の新築工事を実施し、29年度に1号館と3号館の改修を行う想定だ。新たに実施する設計をどのような形で委託するかについては、現時点で未定。現行の基本設計・改修計画・実施設計は、横河建築設計事務所(東京都品川区)が担当した。
現在は既存の2号館の解体工事を進めており、25年2月末に完了する予定。また、不調が続いている医療ガス供給設備の増築に関しては、24〜25年度にかけて工事を実施する。
所在地は松田町松田惣領866ノ1。
提供:建通新聞社