横浜市みどり環境局は、「貨物線の森緑道」の未整備区域に残る橋梁2橋の保全・活用策を検討する。旧国鉄が貨物専用線新興線の鉄道橋として1933年に建設したもので、歴史的な土木遺構としての価値があるものの、残置したままの状況となっている。このため、検討業務をアジア共同設計コンサルタント(横浜市南区)に委託。複数の活用策を上げて効果や課題を精査し、整備方針の立案に生かす。
貨物線の森緑道は、新興線の廃線跡を市が所管して整備を進めた。橋梁周辺の園地以外には遊歩道などの設置が完了し、市民に開放している。
今回の検討対象は、運河に架かる区間の新興第2号橋梁(神奈川区恵比須町〜宝町)と同3号橋梁(宝町〜鶴見区大黒町)。いずれも橋長29b、幅員3・9bの2径間下路プレートガーター橋で、下部工は無筋コンクリート橋台と橋脚。基礎は直接基礎となっている。
2006年度に緑道の基本設計をまとめた際には、人道橋として整備する方針を示していた。また、京浜臨海部の発展を支えた歴史を踏まえ、12年には市の土木産業遺構に登録したものの、基本設計以降は活用方針や整備内容についての具体的な検討が進んでいなかったという。
現在では、民有地内に残っていた線路や信号、操作所といった鉄道関連施設は線路の一部を残して全て撤去されて貨物線を想起させる景観が失われ、橋梁のみが単独で残っている状況だ。基本設計を策定した当時からの社会情勢や周辺状況の変化なども踏まえ、橋梁の活用について再考することにした。
橋梁の健全度調査をアジア共同設計コンサルタントが10月末までの履行期間で担当。その際、塗膜分析で基準値を超えるポリ塩化ビフェニル(PCB)と鉛を検出している。
旧耐震基準で建てられた橋梁のため、安全性の確保対策も含めて保全・活用を検討したい考え。緑道と並行して神奈川産業道路が通っており、歩道としての機能は充足している状況。保全または人道橋への改修など複数の案を比較・検証する。履行期限は25年3月末。
提供:建通新聞社