トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設経済新聞社
2024/11/01

【京都】宇治田原町公共下水道を流域下水道に編入 管渠敷設とポンプ設備改築に47億円

 京都府は、宇治田原町公共下水道の流域下水道への編入に向け、合意形成や法手続き等を進める。諸手続き等が順調に進めば令和8年度にも編入にかかる事業に着手する。
 流域下水道への編入にかかる事業の主な工事としては、管渠敷設が延長6・5q(圧送管φ300×1・6q、自然流下φ450〜600×4・9q)、ポンプ場改築がポンプ設備改築(φ200×2・3m3/min×3基)を予定。
 事業費としては管渠敷設が40億9000万円、ポンプ場改築が4億1000万円、測量設計等が2億円の合計47億円を見込む。
 予定する事業スケジュールは、令和6年度に流域構成市町との合意形成を図り、7年度に都市計画法に基づく都市計画決定・事業計画変更の申請(→認可)及び下水道法に基づく事業計画変更の届出(→受理)の法手続き、府の条例改正などを経て、8年度の事業着手を目指す。
 宇治田原町公共下水道の流域下水道に編入については、10月31日開催の京都府流域下水道事業経営審議会第5回投資部会に報告。府は、委員の質問に答える形でウォーターPPPの導入を検討する考えを示した。
 城陽市東部丘陵地の開発に伴い、市町境まで下水道区域が拡大する計画が具体化し、隣接する宇治田原町との流域下水道接続が合理的に行える状況に進展。「京都府水環境構想2022」の基本方針に基づく施策の実施内容として〈宇治田原町の流域編入の可能性の検討〉を位置づけ、これまで検討とともに各種調整を進めてきた。
 平成12年度から単独公共下水道で汚水を処理する宇治田原町は、人口減少等で下水道経営が厳しく、町終末処理場を廃止し中継ポンプ場を府に移管することで施設の工事費、運転管理が不要となり、町の負担が軽減されることなどから、府に対して木津川流域下水道(洛南浄化センター)への編入を要望。
 府が今後30年間(令和7〜36年)の国・府・市町の事業費ベースの建設費・維持管理費合計を試算した結果、宇治田原町の流域編入が74億円、町単独公共下水道維持が89億円となり、流域下水道に編入する方が安価となる見込みとなった。
 負担軽減効果(令和7〜36年度の30年間で試算)は、宇治田原町が4億1000万円(@宇治田原町が流域編入した場合の負担額33億2000万円A宇治田原町が単独公共下水道を維持した場合の負担額37億3000万円。宇治田原町・令和17年度接続で試算(国費除く))、城陽市が16億7000万円[管渠を宇治田原町と共同使用することで、単独で整備するよりも管渠整備コストが減少し負担が軽減](B宇治田原町が流域編入した場合の負担額15億7000万円C宇治田原町が単独公共下水道を維持した場合の負担額32億4000万円。城陽市東部丘陵地・令和13年度接続で試算(国費除く))、流域市町が6億1000万円と試算した。
 府の投資計画に流域編入にかかる施設整備費用を追加すると、令和8年度以降の必要額が経営戦略で定めた投資予定額の年82億円を超過することから、補正予算確保による事業実施の前倒しや、整備計画の変更により事業実施を平準化し、事業費が82億円程度となるよう調整する。令和8〜16年度までの流域編入にかかる施設整備の公共投資は、測量設計等に2億円程度、管渠・中継ポンプ場整備に年4〜6億円程度とした。
 洛南浄化センターの急速ろ過施設能力増強事業の実施計画を見直し。「全てのろ過池を能力増強しなくとも、水量増加に対して処理水質を落とさずに対応可能」とし、8池の能力増強(+2池の水路化)は年ごとの水量推計を踏まえて整備工程を見直し、事業を平準化する。残るろ過池の着手時期は流入水量の推移や今後の水処理施設の状況により後年度に判断。改築時期・機能停止時期が遅れる設備(急速ろ過設備・揚水ポンプなど)は綿密なメンテナンスにより機能保全を行うことで問題なく運用可能とした。
 こうしたことから「流域編入により汚水処理範囲が広域化され、流域構成市町・宇治田原町それぞれで経済的なメリットが見込まれる」「流域編入にかかる施設整備を既往投資計画に追加しても、既存経営戦略の府・市町の投資計画に影響を与えない」「経済的なメリットのほか、環境負荷の低減や脱炭素社会の推進など複数のメリットが見込まれ、実施する意義は高い」とした。