東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)と国土交通省、東北6県・仙台市が意見交換を行う2024年度東北建設業協会ブロック会議が10月23日、青森市のホテル青森で開かれた。業界側は激甚化する自然災害に備える事前防災の必要性を強調したほか、地域建設業が必要な存在として責任を果たすためにも安定的な公共事業費の確保が重要と訴えた。
千葉会長は能登半島地震や東北地域を襲った豪雨災害を踏まえ、河川の強化や国土強靱化による事前防災を強力に進めていく必要性を強調。併せて、働き方改革、生産性向上といった業界を取り巻く課題への対応や、物価上昇の影響を挙げ「地域建設業が地域に必要な存在として責任を果たしていくためには安定的な公共事業費の確保、中長期的な事業量の確保、強靱化が不可欠」と訴えた。
西村拓東北地方整備局長は激甚化、頻発化する自然災害に地域建設業が対応していることに感謝の意を示した上で「安全・安心を確保する地域の守り手としてなくてはならない存在」と強調。さらに「自然災害や高速交通ネットワークの機能強化などまだまだやるべき事業はたくさんある」とし、予算確保に取り組む考えを示した。
意見交換のテーマは(1)国土強靱化の計画的推進と社会インフラ整備予算の確保(2)設計労務単価改定と地域間格差の解消等(3)第3次担い手3法を踏まえた適切な運用と適切な利潤の確保(4)働き方改革の推進と生産性向上(5)頻発化・激甚化する自然災害における施工確保対策の在り方(6)地域建設業の担い手確保・育成に関する支援―の6項目。
業界側は、国土強靱化5か年加速化対策について緊急対応枠を増額し例年以上の予算規模を当初予算で確保することが不可欠と指摘。特に東北は積雪寒冷地であり施工期間や施工条件に制約があることから、補正予算を主体とする予算措置ではなく当初予算の別枠確保を強く要望した。また、地域の均衡ある発展のために社会インフラの整備が重要とし、予算の大幅な増額と安定的・継続的な確保を求めた。
担い手確保に向けては、新4Kの魅力ある産業として安定した収入が重要とし、賃金格差是正に向け全国一律の設計労務単価と、労務調査方法の見直しを求めた。一方、総合評価落札方式の賃上げ評価について企業経営の負担が大きいとし早急な廃止を要望した。
働き方改革の推進では、担い手確保を加速させるために、官民連携の取り組みが必要不可欠とし、施工時期の平準化や週休2日工事が進んでいない市町村や民間工事への強力な指導など、週休2日工事定着のための環境整備を訴えた。
頻発化・激甚化する自然災害における施工確保については、東日本大震災被災地特例の継続と、熱中症予防に係る必要経費の確保、除雪体制の環境整備などを要望した。
(地方建設専門紙の会・建設新聞社)