滋賀県湖東土木事務所は、管内で推進する「野瀬川」の河川改良に伴い農業用水の取水が困難となる彦根市大藪町地先の既設取水井堰のため進めている「ゴム堰」仕様を採用した新たな取水堰の整備について、22年度委託した取水堰の詳細設計を23年度末完了し地元協議がほぼまとまったため、25年度取水堰整備に係る予算措置を図り、事業費が確保できれば25年度機械器具設置工事をメインとした初弾工事を発注・着工し、2〜3ヵ年で施工し完了させたい考えだ。
22年度キタイ設計(近江八幡市)に委託した野瀬川単独河川改良設計業務では、取水堰の詳細設計を実施。野瀬川で進める河川改修工事によって、農業用水の取得が困難になると予測されている大藪町地先の既設の揚水施設および取水井堰について、新たな取水堰の整備による農業用水の安定確保に向け、13年度行った取水施設詳細設計で検討した取水堰起伏堤の形式を再検討し、再検討に伴い変更となる関連施設の再設計を行った。再検討の結果新たな取水堰の仕様は袋状のゴム引布製の扉体(袋体)に、空気又は水を膨張媒体として充填もしくは排除することによって起伏及び倒伏させる形式のゴム引布製起伏堰(ゴム堰)設備を採用した。堤位置と堰天端高等の諸元は過年度業務の設定に準じる。
設計対象となった取水堰施設(自動転倒ゲート)は、上部工(扉体、巻上装置等)および下部工(躯体、基礎工)、取付護岸工、護床工、操作室(上屋、設備ピット、機械・電気設備)、魚道―で構成。委託期間は23年5月23日までとしていたが24年3月末まで延長し完了した。
野瀬川は、彦根市竹ヶ鼻町を源に、犬上川右岸側を北西に流れ、JR東海道本線を横過し、主要地方道大津能登川長浜線の下流で準用河川戸賀川を合流、彦根市大藪町で琵琶湖に流入する流域面積約3・8平方b、幹線流路延長約4・4qの河川。災害関連事業で実施済みの上流の約1q区間を除く約1・6qを対象に、滋賀県中長期整備実施河川のAランクに位置付けられ改良整備が進められている。
提供:滋賀産業新聞