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北陸工業新聞社
2024/10/25

【富山】「ZEB」など最新技術学ぶ/富山工業高生が建設現場見学/県建設業協会

 富山県建設業協会は23日、富山工業高校建築工学科の生徒を対象とした「高校生の建設現場見学会」を開催した。生徒は、普段立ち入る機会がない建設現場の見学を通して、社会資本整備の必要性や建設業の魅力、「ZEB」などの最新技術に理解を深めた。
 若手の人材確保につなげることを目的に開いたもので、2年生の38人(男子20人、女子18人)が参加。一行は、(1)北陸銀行アルプスビル別館増築工事(施工=佐藤工業)(2)上滝中学校体育館改築主体工事(施工=近藤建設・ミヅホ建設・岡本組JV)(3)立山町の(仮称)防災センターおよび児童館建築主体工事(施工=新栄建設・丸新志鷹建設JV)−の順に訪問した。
 このうち、立山町の防災センターおよび児童館建築主体工事の現場では、発注者である立山町企画政策課の中川大輔課長補佐が、事業の目的や施設機能などを紹介し、「公共施設を集約して、災害時の避難所として多目的な機能を持たせる施設」と解説した。
 設計・監理を担当している東畑建築事務所・鈴木一級建築士事務所JVの東田夏海氏(東畑建築事務所)が、「設計コンセプトは「大きなハコと小さなハコ」をつくること。大きなハコは交流や出会いの場、小さなハコは目的を持った活動の場となる」と紹介。
 建築工事を担当している新栄建設・丸新志鷹建設JVの中川誠所長(新栄建設執行役員建築部部長)は「去年12月1日に現場へ入り、今年9月末の出来高は82%。外構などをこれから施工し、工期は12月27日まで」と進捗状況を説明した。
 その後、生徒は中川課長補佐の説明で館内を見学。施設機能をはじめ、CLT材を使ったルーバーなど「ZEB」認証を受けた同施設の環境性能のポイントを学んだ。
 質疑応答では生徒から「多目的ホールは、音楽からスポーツまで対応できるようだが、座って観覧する時はどうするのか」との質問があり、「観覧席は可動式で収納できる」、「廊下の塗り壁の仕上材はなんですか」との問いでは、「ジョリパットで左官のような仕上げになる」、「部屋によって天井の高さが違うのはどういう意図があるのか」との質問では、「児童館は子供が圧迫感を感じない高さに設定し、防災センターはスポーツやコンサートに使用するため、音の響きを考えて高めにするなど工夫している」と回答。
 ZEBに関する質問では中川課長補佐が、「ZEBにはいろんな種類はあるが、この施設は一番上のランクのZEB(通称・鍵ZEB)。省エネ設備で消費電力を抑え、太陽光発電でエネルギーを創ることにより、実質のエネルギー消費量はゼロになる。公共施設では北陸で初めてであり、全国でも5番目の施設」と答えた。
 最後に若手社員から、同校OBで新栄建設の小原一輝氏(入社5年目)が登壇し、「機械科を卒業してから建築物に興味を持ち、建築の施工管理を学んでいる。高校生の皆さんはいろんな選択肢がある。建築だけに拘らず、自分のやりたいことに向かって一生懸命に努力してほしい」とアドバイスした。

hokuriku