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建設経済新聞社
2024/10/24

【京都】木津浄水場の高度浄水処理導入見据え 概算費算出など整備案検討

 京都府は、高度浄水処理導入を検討している木津浄水場について、浄水処理方式を選定し、選定した方式の整備案や概算費を算出するなどし施設整備案としてとりまとめる。
 木津川から取水している木津浄水場(木津川市吐師。施設能力は4万8000m3/日。給水市町は八幡市、京田辺市、木津川市、精華町)では、平成17年度以降にかび臭(上流の湖沼でかび臭原因生物増殖)[粉末活性炭注入]、平成18年度に油(灯油)(上流の工場の灯油貯蔵タンクからの漏油)[粉末活性炭注入]、平成19年度にかび臭(上流ゴルフ場のため池(かび臭原因生物増殖))[粉末活性炭注入]、平成23年度に油臭(原因不明)[浄水施設の洗浄、送水管の洗管、粉末活性炭注入]などの原水水質悪化の事例が発生している。
 木津浄水場を巡っては、令和5年8月開催の京都府営水道事業経営審議会で高度処理導入に向けた取組について報告があった。
 木津浄水場では、水源とする河川やため池等でかび臭等の臭気が発生しており、また河川水中の有機物と塩素が反応して生成され、発がん性が懸念される消毒副生成物濃度が従来から高い状況。暫定的に整備した仮設備により粉末活性炭を注入しているが、注入日数等が年々増加しており、また現行の設備能力で対応できる原水水質に上限があり、浄水でのかび臭物質濃度が高い状況になるなど、仮設備での対応には限界がある。府営水道として3浄水場の水質の均一性を図る観点から、浄水水質の改善は必要不可欠であり、高度浄水処理導入に向けた取組を進めている。
 高度浄水処理は、粉末活性炭処理方式や粒状活性炭処理方式に加え、宇治浄水場で導入したオゾン処理+粒状活性炭処理方式などに分類される。各方式における臭気の除去性能が水道施設設計指針(日本水道協会)に示されており、木津浄水場の原水のかび臭物質濃度の状況からすれば、活性炭による処理のみで対応可能と考えられる。
 このことから、粉末活性炭処理及び粒状活性炭処理の両面から、既設浄水処理フローへの組み合わせ及び施設諸元や浄水場内への配置等の検討を行っており、実際の原水水質に対する有効性も確認することとしている。
 粉末活性炭処理は仮設備での処理実績を有していることから、粒状活性炭処理に関して、実際の原水水質に対する有効性を確認するため、令和5年度から実験プラントによる処理実験に取り組んでいる。
 処理実験による調査研究は、国立大学法人京都大学(研究担当者は京都大学大学院地球環境学堂・越後信哉教授)に委託し実施。
 木津浄水場に実験装置を据え置き、実際の原水を用いた連続通水処理実験を行うことで、粒状活性炭でのかび臭物質や消毒副生成物等の吸着作用に加えて、活性炭層内の微生物による有機物等の分解作用を確認。
 木津浄水場の施設の1階水質計器室に実験装置を設置。実際の河川水を用いた処理実験は、▽木津川から取水した原水を薬品沈でん池で処理し、その水を実験装置へと流入させ、粒状活性炭処理(吸着カラム)を行う▽粒状活性炭で処理された水について水質検査を行い、有機物等に対する処理効果や粒状活性炭の吸着性能を分析・評価する(かび臭等対策として粉末活性炭を注入する場合には、原水(着水井)を実験装置への流入水として切り替える)。
 令和6年9月開催の府営水道事業経営審議会では、「持続可能な府営水道事業のあり方について」(第3次答申中間案)の付属資料として建設改良計画の概要を盛り込んだ。その中で今後見込まれる建設改良費として、次期料金算定期間(令和7年度〜11年度)の投資額を示した。
 木津浄水場は4億5000万円とし、内訳は沈殿池汚泥掻寄機更新1億3000万円、取水ポンプ制御盤等更新1億3000万円、無停電電源設備更新9000万円、その他1億円。
 木津浄水場の水質リスク対策として高度浄水処理導入促進+αとした。木津浄水場の高度浄水処理については、費用も含めて検討段階であり、事業評価等を経て事業化を判断していくとした。
 異臭味リスク等が高まっている木津浄水場については、水質リスク対応として高度浄水処理導入に向けた取組を推進している。
 「粉末活性炭処理」及び「粒状活性炭処理」の両面から、既設浄水処理フローへの組み合わせ及び施設諸元や浄水場内への配置等の検討を行っており、実験プラントによる処理実験により、実際の原水水質に対する有効性も確認することとしている。実験結果をもとに検証を行った上で、基本設計(配置検討等)を行い、有識者の意見を聴取し事業評価を行う。
 事業化にあたっては、コスト負担が生じるため、受水市町等に説明しながら進めていく。
 高度浄水処理導入に向けた取組スケジュールによると、検討業務(処理方式・配置等)として令和5年度〜6年度に処理実験と検証、6年度〜7年度に基本設計を行い、また事業評価として6年度〜7年度に評価書作成・有識者意見聴取を行い、事業認可変更として6年度〜8年度にかけて資料作成、協議・届出を行う。その後、8年度以降に事業化(詳細設計、工事等)を予定している。
 府営水道事務所は令和6年10月22日、木津浄水場浄水処理方法検討業務を指名競争入札で通知。10月31日に開札し、担当業者を決める。履行期間は390日間。