横浜市は、週休2日で発注する工事であらかじめ増額分を積算に計上する「標準化」を2025年度早期に開始する方針だ。また、設備保守業務の5種目全てで最低制限価格制度の適用を開始するとともに、設計・測量業務では諸経費に関する算入率を国に準じて50%に引き上げる予定。10月18日の市会決算特別委員会で財政局がそれぞれ答えた。働き方改革と担い手確保、物価高騰といった建設業界が抱える課題を巡る支援策を強化する。
市は4月から全ての発注工事で週休2日工事制度を適用。現在は、現場閉所の達成率に応じた補正係数を乗じて工事請負費を増額する方式を取っている。
当日の決算特別委員会では、伊波俊之助氏(自由民主党)が公共工事の働き方改革について質問。「担い手確保のため、労働者の処遇改善は重要」とただし、標準化を導入すれば「受注者と下請け業者との間で週休2日を前提とした契約を促しやすくなり、労働者への適正な賃金の行き渡りも期待できるのではないか」と訴えた。
これに対して福島雅樹ファシリティマネジメント推進室長が答弁に立ち、「国の動向を踏まえ、来年度の早い段階での実施に向けて進める」と明言した。
《委託業務のロアリミット、設備保守で適用拡大》
伊波氏は市内事業者の健全経営に関連して、最低制限価格制度を導入していない委託業務では低価格の応札を余儀なくされている状況の改善が必要だと訴えた。
設備保守業務の委託に際しては現在、5種目のうち施設運転管理・保守と消防設備保守の2種目に最低制限価格制度を導入している。一方、機械設備保守と電気設備保守、通信設備保守の3種目には未導入の状況だ。
9月末現在で、設備保守業務のうち最低制限価格を導入している種目の平均落札率は83・1%、未導入は73・3%と、9・8ポイントの差が生じている。
これらの状況を踏まえ、答弁に立った松井伸明局長は「事業者の健全経営のためにも最低制限価格制度の導入は有効」だと述べ、「25年4月以降に履行を開始する3種目について、制度を導入したいと考えている」との道筋を語った。
設計・測量業務については、国が最低制限価格制度で諸経費の算入率を引き上げたことに準じて、50%に見直す予定であることを松井局長が説明した。
提供:建通新聞社