秋田市上下水道局は、長期契約により管理・更新を一体的にマネジメントするウォーターPPPについて下水道事業に導入を検討するため、日本下水道新技術機構に随契で検討業務を委託した。下水道機構は市が行っている下水道施設維持管理の包括業務委託で導入可能性調査や発注支援業務を行った実績があるため随契にした。今回の検討業務を踏まえて早ければ7年度中に市の方針を決定し、ウォーターPPPを導入する場合は8年度以降に事業者公募を行う。
ウォーターPPPは、水道、下水道、工業用水道分野において、10〜20年の長期契約で維持管理、修繕、更新工事、運営などを行う公共施設等運営事業(コンセッション)に加え、コンセッションに段階的に移行するための前段階となる官民連携方式として、新たに「管理・更新一体マネジメント方式」を含めたもの。
国土交通省が「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)」で新たに位置づけ、人口減少や膨大な施設の老朽化、職員の不足といった社会課題の解決に向け、コンセッションと同方式に準ずる効果が期待できる官民連携方式を推進する。
管理・更新一体マネジメント方式の要件には、◇長期契約(原則10年)◇性能発注 ◇維持管理と更新の一体マネジメント ◇プロフィットシェア(事前に設定した利益配分率に則り報酬を分配する契約形態)―という4つの要件がある。このうち維持管理と更新の一体マネジメントは、維持管理と更新を一体的に実施する「更新実施型」と、更新計画案の策定、コンストラクション・マネジメント(CM)による更新支援を行う「更新支援型」で構成する。
秋田市上下水道局では、これまで複数業者に委託していた維持管理業務を包括的に委託し、複数年契約で維持管理する包括業務委託を進めている。下水道管路を山岡工業・豊興産・日水コンJV(履行期限:7年3月31日)、農業集落排水処理施設(一部)を信葉工機・河辺清掃社・アクアエンタープライズJV(同8年3月31日)、個別排水処理施設を秋田市個別排水JV(代表者:河辺清掃社、構成員:秋田環境システム、五大産業、秋田衛生社、工期8年3月31日)、下水道施設を東総・山岡工業JV(同8年3月31日)に委託しているが、国の方針に基づきウォーターPPPの導入を検討する。
今回、下水道機構に委託した業務では、調査やウォーターPPP導入の範囲、対象施設などについて検討するほか、民間事業者からの意見を聴取するための準備業務も行う。業務である程度の方向性を固めた後、早ければ7年度中に市が導入の有無を決定する。ウォーターPPPは性能発注が要件となっているため、導入する場合は発注者支援業務の委託や事業者公募などに進む見通し。
提供:
秋田建設工業新聞社