北上市は、市立大学の設置に向け基本構想の策定作業を進めており、第1回北上市立大学(仮称)基本構想策定委員会が18日午後、同市芳町の市役所内で開かれた。委員会では、委員長に岩手大学名誉教授の藤代博之氏を選出し、大学の基本理念や養成する人材像、教育の特色について協議した。今後、4回の委員会を開き、2024年度内に基本構想の素案を取りまとめる。市が考える大学の方向性は、設置形態が市立で、工学系の1学部1学科編成とし、市街地に設置することが望ましいとしている。早ければ30年度の開学を想定している。
委員会には、7人の委員が出席。市側からこれまでの取り組み状況などを説明後、委員の情報・システム研究機構の村上雅人氏や藤代氏が協議を前に他の事例や課題点などを紹介した。
基本構想は、@大学設置の意義・必要性A基本理念B養成する人材像C教育の特色D教育研究上の組織(学部等の構成)/定員E教員・事務組織F場所/施設の機能・規模G名称H運営主体I開学時期J整備運営に関する収入・支出の見込みK学生確保の見込み―で構成。
今回は、基本理念と養成する人材像、教育の特色を協議した。委員からは「基本理念は100年先を見越して設定すべきだ」「世界から人が集まるような大学にすべきだ」「学校の特色としてデータサイエンスを扱ってほしい」などの意見が出された。
委員会後、藤代委員長は、「市民や産業界の熱い思いを感じ、良い議論ができた。北上工業クラブや北上商工会議所などとも密に議論しながら、市立大学の設置に向け機運の醸成を図りたい」と話した。
今後、今回を含め計4回の委員会を開き、基本構想に盛り込む内容をそれぞれ協議。24年度内に素案を取りまとめ、25年3月にフォーラムを開く予定となっている。
市は、これまでの調査から大学の望ましい方向性として、「出入り口の状況から工学とし、大学等設置検討会議の意見を踏まえ1学部1学科編成」「地域課題の解決、学生確保、安定運営の観点から、設置形態を市立」「学生や教職員の確保の観点から、大学を市街地に設置」「にぎわいの波及効果も期待」を挙げている。
委員は、情報・システム研究機構監事で前芝浦工業大学学長の村上雅人氏、岩手大学名誉教授・客員教授の藤代博之氏、東京大学大学院教育学研究科教授の両角亜希子氏、北上商工会議所会頭の佐藤直也氏、北上工業クラブ理事の小原学氏、県高等学校長協会北上支会理事の金濱千明氏、県立黒沢尻北高等学校PTA会長の太田宣承氏、公認会計士・税理士の堤研一氏、岩手大学工学GIRLSの佐々木莉乃氏、北上市副市長の及川義明氏―の10人。
提供:日刊岩手建設工業新聞