坂出市番の州コンビナート水素等利活用推進協議会は、脱炭素化の推進に向けた2030年度までの短期目標と50年度までの中長期目標をまとめた。30年度をめどに、域外から調達した水素を各地に供給し、燃料などとして利用する。水素需要量は年間2万d、二酸化炭素排出削減量は66万6000dを想定。二酸化炭素の排出削減に向けて、番の州臨海工業団地内の藻場に吸収させるほか、回収した二酸化炭素を域外の貯留施設か周辺港湾に搬出することなどを検討している。
50年度を目標に、水素については域外調達水素の拡張と水素製造を行うことで域内外への供給を大規模化し、燃料や、メタネーションを含むCCU(二酸化炭素のリサイクル)などに利用する。水素需要量は年間43万dを想定している。二酸化炭素排出量の削減については、藻場での吸収に加え、番の州地域内で回収しメタネーションを含CCUでの大規模消費や、域外CCSサイト(二酸化炭素貯留施設)か周辺港湾へ搬出することで、排出削減量年間144万8000dを見込む。
同協議会に所属する川崎重工業は、同地区の水素拠点としての実現可能性を検討するための調査に着手した。25年2月をめどにまとめる。結果を踏まえて、協議会を組織する各企業が25年度に、番の州コンビナート地区水素拠点化整備のためのFEED(基本設計)に着手し、30年度時点の液化水素貯蔵量や受け入れ拠点の整備などの検討、番の州地区の域内や周辺港湾などの域外での水素需要の調査を行う。
坂出市番の州コンビナート水素等利活用推進協議会は、坂出市長が会長を務め、坂出市、坂出商工会議所、香川県の他、川崎重工業、コスモ石油、四国電力、三菱ケミカル、ライオンケミカル、YKK AP、四国ガスの各企業が参画する。
それぞれの検討内容は、県は周辺港湾からの水素供給連携支援や周辺港湾へのCO2供給連携支援、内航船による周辺港湾への水素供給連携支援など。坂出市と坂出商工会議所は藻場を利用したCO2吸収、水素燃料ボイラでの熱源利用、水素自動車用の水素ステーション設置、燃料電池の利用など。
構成企業は、連携・協力しつつ、各社の得意分野で、将来への取り組みを検討する。内容は液化水素運搬船建造、水素関連設備供給、水素貯蔵・供給、水素製造、水素燃焼による発電、CO2と水素を用いて化学品の製造に利用、回収したCO2をCCSサイトか周辺港湾へ搬出、水素燃料ボイラによる熱供給、e―メタンの供給といった内容を検討する。
県は、今回の実現可能性調査に要する経費の一部を負担する他、将来的には、水素に関する製品の開発や製造にかかる工場の整備に対しての助成を行うことで、番の州臨海工業団地における水素等供給拠点の形成と脱炭素化を促進し、カーボンニュートラルの実現と地域経済の発展につなげていく。
提供:
建通新聞社