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北海道建設新聞社
2024/10/16

【北海道】道内発注機関でICT活用普及進む/導入に苦慮する中小も

 道内の主要発注機関でICT活用工事の普及が進んでいる。北海道開発局の2023年度実施率は83%で、ICT土工と舗装は全国の直轄工事平均を上回る。道の23年度実施率は前年度よりも上昇。札幌市は24年度上半期(4−9月)で実施率5割を超えた。ただ、ICT活用未経験の中小企業などからは、依然として導入に苦慮する声が聞こえる。官民、企業間連携による普及活動の継続が欠かせない。
 国土交通省が23年度に発注した直轄土木工事のICT施工の実施率は87・2%で、前年度から横ばいだ。工種別では土工87%、舗装68・9%、浚渫(河川)90%、地盤改良87・1%などの状況。国交省は25年度から、実施率の高い土工と浚渫(河川)を原則ICT施工の発注者指定方式とする方針を固めている。
 一方、都道府県・政令市の23年度発注工事での実施率は22・9%にとどまる。このため国交省は、活用拡大の余地が大きい自治体発注工事でICT施工を促したい考えだ。
 道内はどうか。開発局の23年度実施率は、全国の直轄平均を4・2㌽下回る。ただ、土工91%、舗装87%、地盤改良100%など全国平均を超える工種が複数ある。24年度上半期の実施率は横ばいの見通し。ICT施工の経験企業数はB等級以下でも増えているという。
 道の23年度実施率は50%で、前年度から10・6㌽上昇。土工のICT活用が大きく伸びたことが要因の一つだ。建管別に見ると実施件数と実施率にばらつきがあり、地域によってICT施工の熟度に差がある。
 札幌市は前年度と同様に50件のICT活用工事を発注済みだ。全て受注者希望型で、簡易型モデルを含め27件で実施している。
 中小企業向けの小規模工事では、生活道路整備10件に対して実施4件と少ない。生活道路整備は作業スペースが小さく、3Dデータ送受信に支障があってICT建機利用のネックになっている。ドローンやレーザースキャナーなど選択肢が複数あり、現場に適した機材が分かりにくいことも課題だ。
 中小企業からは「何から取り組めばいいか分からない」「導入効果が分かりにくい」などの声が聞こえる。発注機関などはサポート制度や相談窓口を設けたり、講習会を開いたりなどしているが、課題解決には至っていない。