大阪・関西万博の開幕まで半年に迫ろうとする10月11日、大阪・夢洲の万博会場内で大屋根リングや静けさの森などの工事の進捗状況が報道陣に公開された。8月21日に木造建築部分が完成した大屋根リングは、2025年2月の全体完成を目指して施工中。静けさの森は高木を植える工事が進み、三菱未来館は民間パビリオンで初めて建物の完成にこぎ着けた。10月10日時点では、独自のパビリオンを建設して参加する52カ国のうち、「タイプA」の47カ国で施工業者が決まった国、着工済みの国はともに45カ国となっている。万博協会の科淳副事務総長は、「半年前となり、開幕に向けての正念場を迎える。建設工事は基本的に順調だが、開幕までに間に合うように関係者との工事調整などを行っていきたい」と話した。
■大屋根リング 設備工事や植栽工事進む
大屋根リングでは現在、エレベーターやエスカレーターの設置工事、屋上緑化などの植栽工事などを行っている。エレベーター6基とエスカレーター5基、階段を八つ設けるとしている。屋上部分は芝生を設ける箇所もあり、来場者の憩いの場の整備も進んでいる。
■会場中心に高木約1500本の森
万博会場の中心に整備する静けさの森の面積は約2・3f。各パビリオンと大屋根リングをつなぐ場の他、来場者の憩いの場となる。開幕までに約1500本の高木が植えられる予定で、約900本が万博記念公園など府内の緑地で間伐予定の樹木を移植。森の中には水盤や池も設ける。植栽の際には「デジタルデザインシステム」を駆使し、木陰の面積が多くなる植栽計画とするなど工夫が施されている。
デザインを担当した忽那祐樹ランドスケープデザインディレクターは「静けさの森は万博の心臓部になる。いのちや健康について静かに考え、体感する場所になってほしい」と期待する。
■三菱未来館 建物が完成
三菱未来館は、9月末に民間パビリオンの中で最初に建物が完成した。パビリオンの規模は鉄骨一部木造地下1階地上2階建て延べ約2100平方b。地下空間を作るために掘った土は、パビリオンの周りの盛土として活用。解体後は埋め戻しに使うなど環境に配慮した建築としている。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社