県環境生活部は15日、第1回環境研究センター基本計画検討会議を県庁南庁舎4階収用委員会審理室(オンライン併用)で開いた。市原地区と稲毛地区に分散している環境研究センター庁舎の建て替えおよび集約化について、2025年3月に基本計画を策定し、25〜27年度に設計を行い、28年度に着工する予定。建設候補地については、環境研究センター市原地区、農林総合研究センター旧別館・空き地、農林総合研究センター旧本館を挙げた。
環境研究センターについては、老朽化した庁舎の建て替えに向けて3月28日に基本構想をまとめた。設計委託に向け、24年度は基本計画を定める予定で、検討会議において学識経験者の意見を聴取しながら検討を進めていく。
委員は、座長の近藤昭彦・千葉大学名誉教授など環境分野の学識経験者2人、建築分野の学識経験者2人、企業代表者1人、住民代表者1人。任期は25年3月31日まで。
基本計画では、基本構想をより具体化し、設計委託・工事発注の与条件として▽施設に必要な機能▽施設に必要な性能=長寿命化基準、省エネルギー性能など▽施設整備=建設場所、建物規模など▽整備工程、概算工事費――を設定する。
章立ての案は▽第1章=基本計画策定の背景と経緯▽第2章=基本理念▽第3章=施設に必要な機能▽第4章=施設に必要な性能▽第5章=施設整備▽第6章=整備工程▽第7章=概算工事費。
基本理念については「調査・研究の質と研究員の意欲を向上させるとともに、センター内の研究室横断や他機関との連携が進む研究所」と「環境分野の支援・発信・交流の拠点として、人々が集う、県の環境保全のシンボルとなる研究所」を挙げている。
基本理念を実現するため、調査・研究機能、技術支援・研修機能、発信・交流の拠点機能、地球温暖化対策に係る機能の強化を図る。
具体的には、最先端機器の設置が可能な研究室・実験室などの整備、ワンフロアの執務室やオープンラウンジなど共用部の充実、必要な会議室および実践的な研修が行える施設の整備、展示・学習スペースおよび屋内・屋外における体験活動の場の整備、高いレベルのZEBの達成または将来的なインフラ付加が行えるような設計、資材の調達や施工に配慮した整備を推進する。
委員の伊香賀俊治・住宅・建築SDGs推進センター理事長(慶應義塾大学名誉教授)は、設計の業務内容に先進事例調査を盛り込むことや、ふさわしい委託先を選定するためプロポーザルにおいて実績などに関する要件を付すことが望ましいと述べた。
また、整備方針に基づき分析機器などの集約化を検討し、総合管理計画の目標に従い施設総量(延べ床面積)の15%縮減を基本とする。目標使用年数80年にわたり性能水準を確保するため、▽可変性=機械室、配管スペース、階高、設計荷重などの余裕の確保▽更新性=部材ごとの耐用年数の違いなどを踏まえ、更新が容易な構造の採用▽省エネルギー・省資源=再生可能エネルギーの活用を含め、高いレベルのZEBを目指し、環境負荷を低減――などを基本的な性能と定めている。
建設候補地のうち、環境研究センター市原地区は市原市岩崎西に所在。敷地面積は1万3295u。居ながらの工事となるため、建設位置に制限が生じる。
農林総合研究センター旧別館・空き地および旧本館は、千葉市緑区にある。敷地面積は、旧別館・空き地約1万8000u、旧本館約2万1000u。建物の解体が必要となるほか、使用中の施設があるため土地利用調整が求められる。
今後は、12月中旬頃の第2回で第1〜4章の案を提示するとともに、第5章に関して最有力建設場所を選定。25年2月の第3回で、第5章のうち施設整備、整備工程、概算工事費について議論する。その後、基本計画案を取りまとめ、書面により確認を行う。