香川県の池田豊人知事は、盛土規制法に基づく盛土などの許可制度の開始時期について、これまで2026年4月を予定していたが、25年10月に半年前倒しする考えを示した。市町との事務分担の調整が順調に進み、また県民の生命や財産を守るため、少しでも早く運用を開始する方針を採った。
規制区域の指定では、地形や土地利用状況に関する基礎調査を行った上で、独自に規制を行う中核市の高松市とも調整を行い、各市町の全域を規制対象区域として選定した。
規制区域には2種類あり、すでに市街地を形成している都市計画区域内や、郊外でも一定の民家が集中する集落の区域については、宅地造成等工事規制区域として比較的高さの低い盛土も規制対象にする。それ以外の区域は条件が緩やかな特定盛土等規制区域とし、分けて規制をしていく考え。この規制区域案についてのパブリックコメントの手続きを開始した。
規制区域内で盛土などを行う場合は、あらかじめ知事などの許可が必要となる。技術的な基準に適合しているか、工事主の資金力や信用、工事施工者の能力について審査を受ける。許可に当たって、土地所有者全員の同意と周辺住民への説明会などが必要となる。
宅地だけでなく、農地や森林での盛土・切土や土捨て行為、一時的な堆積も対象となる。
盛土規正法で宅地造成等工事規制区域の許可対象となるのは、@「盛土で高さが1b超(特定盛土等規制区域は2b超)の崖を生じる場合」、A「切土で高さが2b超(5b超)の崖を生じる場合」、B「盛土と切土を同時に行い、高さが2b超(5b超)の崖を生じる場合(@とAを除く)」、C「盛土で高さが2b超(5b超)となる場合(@とBを除く)」、D「盛土か切土をする土地の面積が500平方b(3000平方b超)(@〜Cを除く)」が挙げられる。
一時的な土砂の堆積については@「最大時に堆積する高さが2b超(特定盛土等規制区域は5b超)で面積が300平方b超(1500平方b超)」、A「最大時に滞積する面積が500平方b超(3000平方b超)」が対象となる。
道路や公園、河川といった公共施設用地内で行われる盛土などは、盛土規正法が適用されない。また、工事に付随して行われるもので、その工事に使用する土石や工事で発生した土石を現場かその近くに一時的に滞積する場合も適用外となる。
許可申請の受付窓口を市町に設置し、県で審査や検査を行う予定だ。
事業者や県民への周知に関しては、申請の手続きなどに関する相談窓口を県に設置し、早期に事業者や県民向けの説明会を開催して、制度などを周知する考えだ。
県は、不法盛土などを早期に発見して必要な対応が行われるように、地域住民が通報しやすい環境を整備するとともに、職員による定期的なパトロールのほか、衛星データやドローンを活用した監視などを検討している。
提供:
建通新聞社