横浜市は、臨海部の脱炭素化を官民連携で進めるための「横浜港港湾脱炭素化推進計画」の素案をまとめた。2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目標に据え、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に取り組む。浮体式の洋上風力発電と電気運搬船によるグリーン電力調達の可能性など、将来的な構想も盛り込んだ。12月の第4回市会定例会に計画案を示し、パブリックコメントを経て25年3月の公表を目指す。
計画の対象範囲は、横浜港の臨港地区と港湾区域に加え、みなとみらい21地区や金沢産業団地などを含めた臨海部。
これらのエリアで事業を営むエネルギー関連企業、製造業、物流関係などの民間事業者と連携して脱炭素化に取り組む。
素案では、温室効果ガスの削減目標や、水素をはじめとする次世代エネルギーの需要・供給見通し、ブルーインフラ(藻場や干潟、生物共生型港湾構造物)の保全・再生・創出に関する取り組みなどを示した。
将来的な構想のうち、今後の電力需要の拡大に対応するための方策については、グリーン電力の調達に関する検討内容を提示。水域の深い場所への設置が可能な浮体式の洋上風力発電の活用を視野に入れている。
3月に再生可能エネルギー海域利用法の改正案が閣議決定されたことを受け、排他的経済水域にも洋上風力発電設備が設置できるようになる見通しだ。
4月には市と東京電力パワーグリッド、海上パワーグリットの3者が横浜港での電気運搬船の受け入れや、大型クルーズ船への陸上電力供給などの実現に関する覚書を結んだ。電気運搬船用の電力供給拠点を構築して、海上輸送した洋上風力由来のグリーン電力を送電する将来像を描いている。
=グリーン電力、首都圏への供給も視野=
これらの状況を踏まえ、10月7日の決算特別委員会では、青木亮祐氏(自由民主党)が洋上風力発電の活用と、送電・受け入れ方法について質問。
答弁に立った港湾局の新保康裕局長は、電気運搬船での送電には「船舶が着岸可能な岸壁のある臨海部で、電力を受け入れ・供給する大規模な拠点が必要になる」と説明。その上で、「拠点整備に向けて国や民間事業者と検討を進め、市域ひいては首都圏へのグリーン電力供給を目指す」との展望を語った。
提供:建通新聞社