京都市は7日、哲学の道デザイン検討会議の初会合を開催。路面の周辺景観と調和した設計を進めるための議論を開始した。
哲学の道は、明治18年から23年まで行われた琵琶湖疏水工事により、蹴上から市街北方を迂回し堀川に合流する疏水分線が完成し、疏水に沿う小道として、京都市が昭和45年に市民の遊歩道として開いた。疏水の管理用道路だったが、文人や学者が散策し思案を巡らしたこともあり、昭和後期に整備されて東山麓の散策道となった。昭和61年には「日本の道 百選」に選ばれた。
8月21日に設置した哲学の道デザイン検討会議は、景観と安全の共存「哲学の道」整備事業において、景観面、安全面の配慮が必要となる哲学の道の路面に関して、周辺景観と調和した設計を進めるため、専門的見地及び地域的視点から意見や助言を求め、京都ならではの良質な道路空間を創出していくことを目的とする。委員数は10人で任期は令和7年3月31日まで。アドバイザーとして京都市上下水道局疏水事務所長が参加。
検討対象範囲は、北端の(今出川通)銀閣寺橋から南端の若王子橋(冷泉通)まで約1500m(幅員L0・9m〜7・8m)。銀閣寺橋から第二寺前橋までの延長830m区間は時間帯指定(土・日曜日、休日の9時〜18時)の自転車歩行者専用道路、第二寺前橋から若王子橋までの延長670m区間は自転車歩行者専用道路。
初会合で、京都市の梅原龍哉建設局土木管理部長が挨拶し「この会議では、皆さんの知識や経験、それからアイディア、そして地元の声を聴いて、路面のデザインについてどうあるべきかを検討し、よりよい道路空間を創出していきたい」と述べた。
路面の舗装については、北側の銀閣寺道から法然院橋北側までを昭和60年代に舗装済み(地道色カラー舗装区間A)、大豊橋から北の交差点までを平成8年度に舗装済み(地道色カラー舗装区間C)。AとCの間が未舗装の砂利区間B、大豊橋から若王子橋までが未舗装の砂利区間Dとなっている。
一部舗装については、経年劣化によるひび割れが発生している状況。若王子橋付近は石畳舗装となっている。砂利区間については雨天時は水たまりやぬかるみが発生している状況。
京都市への主な要望としては「地道色カラー舗装が傷んでいるので補修してほしい」「砂利区間を舗装してほしい」「砂利のまま残してほしい」「整備にあたり、整備手法等のメリット、デメリットを説明してほしい」など。
委員からは「土の道の優位性があるのではないか。100年、200年先を考えて検討してほしい」「場所に応じて、自然に馴染んだ色の点字ブロックが必要」などの意見があった。