国土交通省近畿地方整備局と和歌山県建設業協会(中井賢次会長)との意見交換会が10月4日、和歌山市内で行われた。協会からは、総合評価落札方式の入札について「チャレンジ型(施工計画評価型)の案件を増やし、受注実績がない業者や少ない業者への受注機会の拡大」「地域課題における独自の取り組み・地域企業の育成などの評価項目による評価の見直し」など、地域の中小建設業者の受注機会拡大といった視点で地域ごとにバランスが取れた発注などを要望。整備局も「地域の担い手確保や地元企業の健全な経営、受注実績のない会社も受注機会が得られるよう検討し、不調不落の原因も見ながら、適切な方式での発注を進めていく」と回答した。
近畿地方整備局企画部の橋伸輔部長は、能登半島で発生した大雨による被害について触れ、近畿地整から派遣したテック・フォースの活動を報告し、「地域の建設業がいて、平素から地域の安全・安心が確保されている」と強調した。また、第3次担い手3法について「下請け業者を含め地域の建設業をいかに永続的に守っていくかがポイントだ」とし、「皆さんの声を聴きながら、改善できることは改善していきたい」と述べた。
中井会長は「建設業界は、資材の高騰や後継者、働き手不足などの問題が山積しているが、中でも事業量の問題はこれらの根本にある」と訴え、安定的な公共事業予算の確保を求めた。
今回の意見交換会で協会は@社会資本整備のための安定的な公共事業予算の確保A総合評価方式の入札B工事の発注C工事費の積算D変更契約E書類の簡素化などF工事履行保証―を議題に挙げた。
このうち、「社会資本整備のための安定的な公共事業予算の確保」については、調査段階にある「和歌山環状北道路」や「京奈和関空連絡道路」の早期事業化などを求めた他、「国土強靱(きょうじん)化実施中期計画」の早期策定を要望した。近畿地整は京奈和関空連絡道路の早期事業化について「大阪府や和歌山県と連携し、ネットワークの検討を進めたい」と回答した。また、国土強靱化実施中期計画については橋企画部長が「これからの事業のボリュームが決まる大切な時期。さまざまなチャンネルを通じて地域の実情を伝えてほしい」と要請した。
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