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日本工業経済新聞社(群馬)
2024/10/03

【群馬】次期県土整備プランで8つの新規プロジェクトに着手

県県土整備部は、2024年第3回前期定例県議会の産経土木常任委員会において、24年度内に策定・公表予定の次期県土整備プランの「検討案」とともに、道路、橋梁、河川事業を含む新規の8つの中心的なプロジェクトを、計画期間内に「着手する事業」に格上げする方針を示した。
厳しい財政状況下においても、県は財政の健全性を維持しながら投資効果の高い事業を厳選。選択と集中の結果、本県のさらなる発展に不可欠な大胆な投資として、防災力強化や連携・共創による群馬ならではの未来につながるプロジェクトが選ばれた。これらのプロジェクトには、地域経済の発展と災害に強いインフラ整備に対する大きな期待が寄せられている。
今回、着手事業に格上げされた8つのプロジェクトは次の通り。

@主要地方道熊谷館林線利根川新橋(赤岩)整備(千代田町)

千代田町と埼玉県熊谷市を結ぶ新しい橋梁を整備する事業。既に23年5月に建設に着手する方針が山本一太知事から公表済みである。現状、橋梁間隔が約10qと広く、朝夕を中心に渋滞が発生している。本橋の整備により、渋滞緩和や物流の効率化、通勤環境の改善が図られ、東毛地域のさらなる経済発展が期待される。また、利根川の氾濫時には、防災拠点間を結ぶ役割を果たし、地域住民の広域避難にも資するなど、防災機能の強化にもつながる。

A県庁〜前橋駅クリエイティブシティ構想(前橋市)

県庁から前橋駅までのメインストリートである主要地方道前橋停車場線を、公共交通と人中心のウォーカブルな道路空間に再編する事業。GunMaaSや自動運転など新たなモビリティサービスにも対応した、群馬らしい独自の価値を創造し、にぎわいとふれあいのある街づくりを推進する。前橋市のまちづくり・リーディングプロジェクトを支援し、将来的には、ここで得たノウハウを他の市町村へ展開することも視野に入れている。

B上信自動車道嬬恋バイパス整備(嬬恋村)

嬬恋村内の約12q区間で高規格道路を整備する事業。現道区間は山間部特有の脆弱性があり、令和元年東日本台風で国道144号鳴岩橋が流出する被害も発生した。多重性の確保や防災機能の強化を図り、強靱な道路ネットワークの構築を目指す。

C利根川前橋・高崎・玉村工区河川改修(前橋市・高崎市・玉村町)

現在事業中の利根川(伊勢崎・玉村工区)に連続する上流約6q区間の河川を改修する事業。この区間には、住宅団地や商業施設だけでなく、群馬ヘリポートや工業団地など、多くの重要な産業拠点が存在する。築堤や河道掘削により、水害リスクを軽減することで、新たな産業拠点の形成や企業誘致も期待される。

D主要地方道前橋長瀞線柳瀬橋老朽橋架替(高崎市・藤岡市)

完成から94年を経過した老朽橋梁である柳瀬橋を架け替える事業。補修費の縮減や治水安全上の課題解決を図るとともに、高崎市側で事業中の4車線化工事と連続して橋梁部の4車線化を図ることで渋滞解消や広域避難ルートの強化を実現する。高崎・藤岡地域のレジリエンス強化の中核をなす事業としても期待される。

E主要地方道桐生伊勢崎線バイパス整備(伊勢崎市)

伊勢崎市内の約1・6q区間でバイパスを整備する事業。都市計画道路北部環状線としての機能を持ち、隣接する市事業区間と協調して整備を進める。中心市街地の渋滞を大幅に緩和し、公共交通の定時性や速達性の向上につながる。さらに、伊勢崎市は中心市街地でシンボルロード構想や子育て支援施設の整備などを行っており、市の目指すウォーカブルでにぎわいのある魅力的なまちづくりを後押しする。

F主要地方道前橋伊香保線吉岡バイパス整備(渋川市・吉岡町)

吉岡町宮東交差点から北側に向かう約1・3q区間でバイパスを整備する事業。バイパス整備により、関越自動車道駒寄スマートインターチェンジへのアクセス性が向上し、物流の効率化が図られることで、渋川市内のサントリー榛名工場など既存の産業団地での生産拡大や、吉岡町のクリーンエネルギー拠点構想など、新たな産業拠点の形成への貢献が期待される。また、生活道路への通過交通の流入を防ぎ、通学児童の安全安心な通行空間の確保にもつなげる。

G一般県道太田桐生線バイパス整備(太田市・桐生市)

桐生市から太田市の北関東自動車道太田強戸スマートインターチェンジを結ぶバイパスを整備する事業。大規模災害時に防災拠点となる太田強戸パーキングエリアへのアクセス強化や、太田市・桐生市を含む2・5次保健医療圏の相互補完として、太田市の救命救急と桐生市の周産期医療など両市の医療分野での連携強化にもつながる。さらに、周辺には太田市さくら工業団地やその周辺では新たな産業団地の整備構想などもあり、工業都市太田のさらなる産業振興への貢献も期待される。
【災害対応組織力の維持も新たに明記】
次期県土整備プランでは、これら8つのプロジェクトに加え、気象災害の頻発化や大規模地震に備えた建設業の「災害対応組織力」強化にも重点を置く方針だ。今年3月、群馬県建設業協会の青柳剛会長が提言した内容を踏まえ、地域ごとの「地域密着型事業量」を確保し、地域の安全を守る公共事業にも引き続き力を入れる。
「地域密着型事業」については、現在までに県内12土木事務所別に「地元意見ヒアリング」を2回実施しており、これらの意見や要望等を踏まえると同時に、能登半島地震の発生を契機に、県内各地で孤立対策の強化に向けた基幹道路を守るための土砂災害対策や道路防災、子どもたちの安全な通行空間の確保に向けた歩道整備なども進めていく方針としている。これにより、地域住民の安全と安心を守るとともに、地域の持続可能な発展に貢献することを目指す。
【地域の未来を見据えた公共事業】
県県土整備部は、今回の新規に着手するプロジェクトを通じて、地域の課題を解決し、経済発展や防災強化を図ることで、「災害に強く、安定した経済活動が可能な群馬県」といった県土整備プランの将来像の実現を目指している。これらのプロジェクトは、地域住民や関係者の期待を背負い、今後の展開が注目されることは間違いない。
なお、今回は「中心的なプロジェクト」の次期プランにおける位置づけが示されたものであり、具体的な事業化の時期や工期は現時点では未定。今後、県土整備部は地域の声を反映しながら、次期県土整備プランの改定を、年度末の策定・公表に向けて着実に進めていく考え。
宮前勝美県土整備部長は「県土強靱化の推進や、市町村のまちづくり支援など、複合的な投資効果を考慮するとともに、各地域の災害対応組織力の維持という観点も踏まえ、今回、新たな中心的プロジェクトの着手事業への格上げについて、知事にご英断いただいた。今後は、地域の皆さまのご理解をいただきながら、都市計画決定や公共事業評価など必要な手続きを行った上で、遅滞なく事業を進めてまいりたい」と、コメントしている。